0126 液体窒素

2023年2月7日

液体窒素で実験してみよう

デュワーびんの中で、ぶくぶく沸騰しています。

花を入れると、バラバラになってしまいました。
 

 空気を入れると酸素が液化します。液体酸素は青いのですが、写真ではあまりわかりませんね。

 他にも、液体窒素といえば、磁石に引きよせられた液体酸素の実験とか超伝導のマイスナー効果とかいろいろおもしろい実験がありますね。   2010/12/24公開

液体窒素の事故

 札幌の中学校で1年生の理科の授業で液体窒素の実験をしていたところ、生徒に軽い凍傷を負わせてしまった事故があったそうです。

中学校事故:液体窒素の実験で生徒6人が凍傷 北海道  

札幌市教育委員会は24日、同市手稲区の市立新陵中学(坂田恵三校長、生徒数320人)の理科の授業で、液体窒素の実験の際、担当教諭が、生徒計70人の手のひらに液体窒素を数滴垂らし、うち6人が凍傷などの軽傷を負ったと発表した。  
   
同市教委によると、30代の男性教諭は22日、1年生3クラスの理科の授業で、液体窒素で熱が奪われることなどを体感させようと、70人の生徒の手のひらに液体窒素を垂らした。24日朝に男子生徒の親から手のひらに水泡ができて通院したとの連絡があり、確認したところ、男子生徒計6人が小さな水泡ができる負傷をしていた。  
   
液体窒素は、冷却剤として広く使用され、沸点は零下約196度。坂田校長によると、生花やゴムボールを 利用した実験が一般的。男性教諭は今年度採用されたといい、「自分の知識が未熟だった」と話しているという。  

毎日新聞 2010年12月24日 22時46分  

液体窒素を手に垂らす実験、生徒6人軽い凍傷

札幌市教育委員会は24日、市立新陵中(同市手稲区)の1年生の理科の授業で、30歳代の男性教諭が液体窒素を、生徒の手のひらに直接垂らす実験を行い、男子生徒6人に軽い凍傷を負わせたと発表した。

市教委は、不適切な実験だったとして、男性教諭の処分を検討している。

実験は今月22日、1年生の3クラスでそれぞれ行われた。液体窒素が一瞬で気化する様子を体感させるため、希望した約70人の手のひらに数滴ずつ垂らした。翌23日、1人の男子生徒が「手がヒリヒリする」と家族に訴え、病院で受診したところ1~3センチほどの水ほうができていた。24日に家族から連絡を受けた学校が調べたところ、他にも5人の男子生徒に同様の症状が出ていた。

読売新聞 2010年12月24日 

 1年だから化学分野の状態変化のところでしょうか。うちみたいに大学からすぐに支援してもらえる環境ならばともかく、おそらくは一般の公立校で、わざわざ液体窒素を用意している(デュワー瓶など決して安くない器具などを含めて)ということろから、かな~り実験に熱心な先生だと思います。それだけに、こんなことになってしまい、同業者としてもとても残念に思います。

 でも実は、液体窒素を入れたデュワー瓶に手を突っ込んですぐ抜くというパフォーマンスはそんなに危険ではありません。-196℃の液体窒素と体温では200度以上の差がありますから、液体窒素の中に手を入れると、手の周りの液体窒素は瞬間的に気化して気体の窒素の膜ができ、液体窒素は直接は皮膚に触れないのです。これをライデンフロスト効果(Leidenfrost effect)と言います。加熱した鉄板上を水滴をたらすと、その水滴がなかなか蒸発しないでコロコロ動いているのもこの現象によります。

 ただし、液体窒素の中に手を入れていられるのはこれは1秒程度のごく短時間での話。気化熱で皮膚表面の温度が下がったらもう終わりです。同様に手の上に液体窒素をたらせば、体温で蒸発して浮く形になります。(もちろんヒヤッとは感じますが)

 ところが、新聞の記事によりますと、生徒の手のひらに直接垂らす実験を行っていたそうです。手のひらは真ん中がくぼんでいますからそこに液体窒素が長居してしまい、凍傷になったのではないかと推測できます。手のひらでコロコロさせて動かせば何とかなったかもしれません。そもそも、たらすなら普通は手の甲にたらすものじゃないかと思います。

 その他、液体窒素の実験に関する注意事項としては、
*濡れた手にかけてはいけない。水分が冷やされて凍傷になる。
 (今回の事故は、生徒の手が濡れていた可能性も考えられます)
*試験管に液体窒素を入れてしばらく置いておくと、まわりの空気中の酸素が冷やされて液体酸素がたれてくる。これが皮膚につくとかな~り痛いらしい。また、酸素なので火気厳禁。
*液体窒素を運ぶときなどは、軍手は厳禁。まだ素手の方がまし。軍手自体が液体窒素を吸着して凍結してしまいます。専用の革手袋を使うのがベスト。
*液体窒素といっしょにエレベーターに乗らない。「同乗厳禁」と札を立てて、上と下で受け取りするのが望ましい。(こぼしたときや停電で閉じこめられたときに窒息の危険がある)
*液体窒素が気体になるとき体積は約650倍にもなる。

 液体窒素といえば、1992年8月10日に起こった北海道大学工学部応用物理学科窒息死事故も忘れてはいけません。
 低温実験室(-2~-1℃)において、停電のため室内の温度を下げようとして液体窒素をばらまき、そのため液体窒素が気化して室内に充満し、酸欠状態になり呼吸不全のため助手と大学院学生の2名が死亡した事故です。
 未確認ですが、ドライアイスを何キロか使って、その後に液体窒素を80L撒いたという話もあります。

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