1209 中学理科で解ける 共通テスト2022 物理基礎編
中学理科で解ける 共通テスト2022。第2弾は物理基礎。
とんでもないことに今年は物理基礎が当たり年。中学理科の範疇の問題が安定の地学基礎以上にありました。どんな問題か解いていきましょう。
第1問
問1
次の文章中の空欄[ア]・[イ]に入れる数値の組合せとして最も適当なものを次ページの①-⑧のうちから一つ選べ。[1]
図1のように隣りあって平行に敷かれた線路上を2台の電車(電車Aと B)が,反対向きに等速直線運動をしながらすれちがう。電車AとBの長 さは,それぞれ50mと100 rnであり,電車AとBの速さはそれぞれ 10m/sと15 m/sである。電車Aに対する電車Bの相対速度の大きさは[ア]m/sである。また電車Aの先頭座席に座っている乗客の真横に 電車Bの先頭が来てから電車Bの最後尾が来るまでに要する時間は[イ]sである。
え(困惑)…。小学校の算数…??(決して煽っているのではありません。素です。)
10m/s+15m/s=25m/s 100m÷25m/s=4s ⑦
問2
図2のように,質量mのおもりに糸を付けて手でつるした。時刻t=0で おもりは静止していた。おもりが糸から受ける力をFとする。鉛直上向きを 正として,Fが図3のように時間変化したときおもりはどのような運動をするか。 0 <t<t1の区間1, t12の区問2. t2くtの区間3の各区間において,運動のようすを表した次ページの文の組合せとして最も適当なものを,次ページの①~⑦のうちからーつ選べ。ただし重力加速度の大きさをgとし、空気抵抗は無視できるものとする。
a 静止している。
b 一定の速さで鉛直方向に上昇している。
c 一定の加速度で速さが増加しながら鉛直方向に上昇している。
d 一定の加速度で速さが減少しながら鉛直方向に上昇している。
mgはちょうど物体の重力とつり合っているので、おもりに力が加わっていないのと同じ。t=0で静止してるのだから、区間1では慣性の法則で静止し続ける。
区間2では上に一定の大きさの力を加え続けている。ということはその間運動が変化し続ける。つまりだんだん速くなっていく。上向きの力だからもちろん上向きに。
そして区間3では再びおもりにかかる力はつり合っている。なのでまた感性の法則なのだが、今度はt2の時点で動いているので同じ速さで動き続ける(等速直線運動) ④
問3
図4のように鉛直上向きにy軸をとる。小球をy=0 の位置から鉛直上向きに投げ上げた。この小球はy=hの位置まで上がったのち,y=0 の位置まで戻ってきた。小球が上昇しているときおよび下降しているときの小球のy座標と運動エネルギーの関係は次ページのグラフ(a),(b),(c)のの実線のうちそれぞれどれか。その組合せとして最も適当なものを次ページの①~⑨のうちから一つ選べ。ただし、グラフ中の破線はy=0を基準とした重力によ る位置エネルギーを表している。また空気抵抗は無視できるものとする。
yだよな。tじゃないよな。ふつうに高さだよな。だったら位置エネルギーは高さに比例するんだから直線の(c)で決まりじゃない。⑨
第2問
A
容器に水と電熱線を入れて水の温度を上昇させる実験をした。ただし,容器と電熱線の温度上昇に使われる熱量、攪拌による熱の発生,導線の抵抗およ び外部への熱の放出は無視できるものとする。また電熱線の抵抗値は温度によらず水の量も変化しないものとする。
問1 図1のように,異なる2本の電熱線A. Bを直列に接続して,それぞれを 同じ量で同じ温度の水の中に入れた。接続した電熱線の両端に電圧をかけて 水をゆっくりと攪拌しながらしばらくしてそれぞれの水の温度を測ったと ころ、電熱線Aを入れた水の温度の方が高かった。
このとき次のア~ウの記述のうち正しいものをすべて選び出した組合せとして最も適当なものを後の①~⑧のうちから一つ選べ。
ア 電熱線Aを流れる電流が電熱線Bを流れる電流より大きかった。
イ 電熱線Bの抵抗値が電熱線Aの抵抗値より大きかった。
ウ 電熱線Aにかかる電圧が電熱線Bにかかる電圧より大きかった。
①ア ②イ ③ウ ④アとイ ⑤アとウ ⑥イとウ ⑦アとイとウ ⑧正しいものはない
直列回路なので電流は等しい。⇒アは×。
それで電熱線Aがの発熱が大きいということは電熱線Aにかかる電圧が大きかったから。⇒ウは○
それは電熱線Aの方が抵抗が大きいことを意味します。⇒イは× ③
問2 図2のように別の異なる2本の電熱線C. Dを並列に接続して,それぞ れを同じ量で同じ温度の水の中に入れた。接続した電熱線の両端に電圧をか けて水をゆっくりと臓件しながら,しばらくしてそれぞれの水の温度を測っ たところ電熱線Cを入れた水の温度の方が高かった。
このとき次のア~ウの記述のうち正しいものをすべて選び出した組合せとして最も適当なものを後の①~⑧のうちから一つ選べ。
ア 電熱線Cを流れる電流が電熱線Dを流れる電流より大きかった。
イ 電熱線Dの抵抗値が電熱線Cの抵抗値より大きかった。
ウ 電熱線Cにかかる電圧が電熱線Dにかかる電圧より大きかった。
①ア ②イ ③ウ ④アとイ ⑤アとウ ⑥イとウ ⑦アとイとウ ⑧正しいものはない
並列回路なので電圧は等しい。⇒ウは×。
それで電熱線Cがの発熱が大きいということは電熱線Cに流れる電流が大きかったから。⇒アは○
それは電熱線Cの方が抵抗が小さいことを意味します。⇒イは○ ④
B ドライヤーで消費される電力を考える。ドライヤーの内部には図3のよう に電熱線とモーターがあり、電熱線で加熱した空気をモーターについたファン で送り出している。ドライヤーの電熱線とモーターは100Vの交流電源に並列に接続されている。ドライヤーを交流電源に接続してスイッチを入れるとドラ イヤからは温風が噴き出した。ただしモータと電熱線以外で消責される電カは無視できるものとする。
問3 ドライヤー全体で消費されている電カP、電熱線で消費されている電力 Ph,モーターで消費されている電力Pmの関係を表わす式として最も適当なものを次の①~④のうちから一つ選べ。
並列なんだから、電熱線の消費電力、モーターの消費電力の和がそのままドライヤーの消費電力となる。たこ足配線と同じだな。 ④
問4 電熱線の抵抗値が10Ωのドライヤーを2分間動かし続けるとき、電熱線で消費される電力量は何」か。次の式中の空欄[8][9]に入れる数宇として最も適当なものを次の①~⓪のうちからーっずつ選べ。ただし、 同じものを繰り返し選んでもよい。またドライヤーの電熱線の抵抗値は、 温度によらず一定であるとする。電力量は交流電源の電圧を100 Vと して直流の場合と同じように計算してよい。 [8].[9]×105J
①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5 ⑥6 ⑦7 ⑧8 ⑨9 ⓪0
100Vで10Ωなら10Aになる。したがって消費電力は100V×10A=1000W
これが2分間(120秒間)だから、1000W×120S=120000J 1.2×105J ①②
第3問
次の文章は演劇部の公演の一場面を記述したものである。王女の発言は科学的に正しいが、細工師の発言は正しいとは限らないとして後の問いに答えよ。
王女役と細工師役が図1のスプーンAとスプーンBについての言い争いを演じている,
王女:ここに純金製のスプーン(スプーンA)とあなたが作ったスプーン(スプーンB)があります。どちらも質量は100.0gですが色が少し異なっているように見え、スプーンBは純金に銀が混ぜられているという噂があります。
細工師:いえいえスプーンBは純金製です。純金製ではないという証拠を見せてください。
王女はスプーンBが純金製か銀が混ぜられたものかを判別するためにスプーンAとBの物理的な性質を実験で調べることにした。
問2 次の文章中の空欄[13]~[15]に入れる語句として最も適当なものをそれぞれの直後の{}で囲んだ選択肢のうちから一つずつ選べ。
王女:ならば、スプーンAとスプーンBの密度を比較すればスプーンBが純金製かどうかわかるはずです。
スプーンAとスプーンBを軽くて細いひもでつなぎ軽くてなめらかに回 転できる滑車にかけると空気中では図2(ⅰ)のようにつりあって静止した。 次にこのままゆっくりとスブーンAとスプーンBを水中に入れたところ 図2(ⅱ)のようにスプーンAが下がり容器の底についた。ただし空気による浮力は無視できるものとする。
王女:スプーンを水中にスれたとき図2 (ii)のようになった理由はスブー ンBにはたらく重カの大きさはスプーンAにはたらく重力の大きさ
[13]{①よりも大きく ②よりも小さく ③と同じであり }
スブーンBにはたらく浮カの大きさはスプーンAにはたらく浮力の大きさ
[14] {①よりも大きい ②よりも小さい ③と同じである}
ためです。
このことからスプーンBの体積はスプーンAの体積よりも
[15] {①大きく ②小さく}
スプーンAとスプーンBの密度が違うことがわかります。つまりスプーンBは純金製ではありません。
細工師:これはスプーンAとスプーンBの形状が少し違うから…。
細工師は何か言いかけたところで言葉に詰まった。
細工師が言いかけたこと「君のような勘のいい王女は嫌いだよ」
質量はスプーンAもスプーンBも100gなんだから重力は同じですね。⇒ [13] ③
でも水中に入れたとき、スプーンBが浮き上がったのはスプーンBの方が浮力が大きいからで⇒ [14] ①
それは、スプーンBの体積はスプーンAの体積よりも大きかったからです。⇒ [15] ①
問3 次の文章中の空欄[16]~[17](注・[17]の問題は今回はとり上げません)に入れる語句として最も適当なものをそれぞれの直後の{}で囲んだ選択肢のうちから一つずつ選べ。
王女:ならばスプーンAとスプーンBの電気抵抗Rを測定してさらにはっきりと判別してみせましょう。
王女はスプーンAから針金AをスプーンBから針金Bを形状がいずれも
断面積S=2.0X10-8m2 長さ l=1.0 m
となるように作製した。この針金の両端に電極をとりつけ両端の電圧Vと流れた電流Iの関係を調ぺた。破線を針金A 実線を針金Bとしてその実 験結果を図3に示す。
王女:図3の結果を見てみなさい。針金Aと針金Bの電気抵抗はまっ たく違います。この結果から針金Bの電気抵抗Bはおよそ
[16]{①4.1×10-1Ω ②2.4Ω ③4.1Ω ④2.4×101Ω }
であることが分かります。(以下略)
0.8Vちょっと過ぎたあたりで0.2Aだからほぼ4Ωかな ③
でこのあと、2つのスプーンの抵抗率が違うことから細工師の嘘がばれて慌てて逃げ出すわけですが、細工師も細工師だけど王女も王女ですよね。スプーンBが純金でないことを証明するために、わざわざ本物の純金のスプーンAを用意したり、あまつさえそれをぶっ壊して針金を作るんですから…。
ということで、物理基礎12問50点のうち、9問37点が中学理科の範疇(多少中学生離れした思考力を含む)で解けてしまいます。河合塾は平均点の予想を31点程度としていますから、余裕の平均越えです…。おそるべし中学理科!
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