2332 鉄と硫黄に代わる2種類の物質を反応させる実験の開発―銀箔と硫黄粉の反応―(前編)

 2026年8月22日に第76回日本理科教育学会全国大会(鹿児島大会)に参加したときの一般研究の発表です。

昨年の研究と問題

「化学変化と原子・分子」における実験

 中中学校第2学年「化学変化と原子・分子」での実験については、学習指導要領本文で行うとされている生徒実験は「物質を分解する実験」「2種類の物質を反応させる実験」などで、決して特定の物質を使って生徒実験をやるように指定しているわけではありません。一方、教科書では「2種類の物質を反応させる実験」として現行の中学校理科の教科書会社は5社いずれもが、鉄とイオウで実験しており、これはずっと変わっていません。

鉄と硫黄を結びつける実験の問題点

  しかしこの実験は、大変事故が多いことでも有名な実験です。最後の段階で硫化鉄に塩酸を加えたときに発生した硫化水素を吸って体調不良を訴えるというのが有名で、毎年5月ごろにはこの事故がニュースになっています。
 このため、事故を避けるために生徒実験をやめて教師の演示や実験の動画視聴に切り替える先生がいたり、ときには教育委員会から、この実験を禁止するところもでてきています。
 半面、有意義な実験であるので、安全には十分配慮しながらなんとか生徒実験をさせたいと考える理科教育の関係者も見られます。

 どちらの気持ちも大変よくわかります。

昨年の研究

 そこで、昨年度のはこの鉄と硫黄に代わりうる実験はないかということを検討しました。
 まず、労働安全衛生の世界で使われている化学物質管理におけるリスク低減措置の手法に従えば、化学物質の変更という点で、違う物質での実験、使用条件の変更という点で、マイクロスケール化、ができそうだと考えました。
 違う物質での実験としては、金属、特に銅または銀と硫黄の反応が有力な候補となりました。マイクロスケール化としては、ホールスライドガラスの凹みに金属や硫黄をのせてカバーガラスをかぶせ、コンロで加熱する方法でやってみました。
 たしかに、銅や銀は黒くなり硫化が起こったといえますし、硫化した銀については電流が流れないことも確認できました。

実験方法の問題点と今年度の研究

 しかし、この方法では問題点もあることがわかりました。
 第1にホールスライドガラスやカバーガラスが使い捨てになってしまいます。また、そもそもホールスライドガラスは顕微鏡観察に使うものですから、加熱を想定していません。そのため、このような使い方がよいのかという問題があります。
 第2に、金属片など大きな塊の場合、反応は表面のみにとどまり、内部は銅や銀のままです。
 そして第3に、特に銀は高価なため、学校ではたくさんは用意できないという問題もあります。
 そこで、今年度はこれらの問題点をクリアした実験方法を開発します。

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