2334 鉄と硫黄に代わる2種類の物質を反応させる実験の開発―銀箔と硫黄粉の反応―(後編)

問題点の検証

 ということで、昨年からの宿題である3つの問題点について検証してみます。
 1点目、ホールスライドガラスについては、今回、使わないですみました。
 2点目 表面のみの反応という点では、箔の薄さが功を奏して、箔の裏側まで、つまり全体が変化しました。
 そして問題は3点目の銀の価格ですが…

 昨年度の研究では、銀は酸化銀の熱分解で得られたものを使いました。酸化銀25gのAmazonでの販売価格が昨年7月の時点では16800円でしたが、現在40,700円と4万円越えしえいます。 これに対し銀箔100枚で6500円、実験1回あたりの価格にして酸化銀の時は65円に対し、銀箔だと7.2円、かなり安く済ませることができました。

 いやいや比べるのは酸化銀じゃなくて、今まで使っていた鉄粉だろう、という声もあるでしょうから、鉄粉でも調べてみると 500gで2016円、1回の実験で3.5g使うとして14.1円ですから、銀箔のコストは決して高いわけではありません。その他に必要なものとして、銀箔ではアイロンを備品でそろえる必要がありますが、鉄粉だと試験管が使い捨てになることを考えると先行投資として十分かと考えます。

 もう少し希望を言えば、多少割高になっても銀箔を小さく切ったものを、たとえば枚数10枚単位で買えたりすると、うれしいです。

本法の課題・留意点

 ただし、問題点がないわけではありません。
 一番の懸念は、銀箔の扱いについてです。風で飛んだり静電気でくっついたりするので、なかなか気を遣わせてくれます。
 これに関しては赤写し紙に張り付いた状態で実験をするとか、先ほどあったように小サイズ、小ロットでの銀箔の販売とかありますが、いっそのこと、銀箔で硫黄粉を包んでしまい、銀箔の外側からアイロンで加熱してみてはどうか、と考えています。

 そのほか、普通理科室にないアイロンを新たにそろえる必要がありますが、家庭科から借りることも可能でしょう。
 もう少し検討したいのは加熱条件です。先ほど話したように包んで加熱する方法もそうですし、時間やアイロンと銀箔の間に何をどれだけ挟むかというのもいろいろな条件で 比較してみる価値はありそうです。
 また、長時間加熱したときは、少量ですが硫黄の蒸気が発生している可能性があります。今回は一人で実験をしていますが、授業の時のようにたくさんの班が同時にこの実験をやるとすると、当然ながら発生量が増えることも考えられます。そういう意味では換気は継続ですが、換気のエアコンで銀箔が飛んでいかないように気を付ける必要があります。

これ、意外に深刻です。

まとめ

 まとめに入ります。
 2種類の物質を反応させる実験として昨年度検討したマイクロスケール化実験での問題点をクリアすることを目標にした研究を行いました。
 銀箔に硫黄粉をのせ、アイロンで加熱する実験方法を開発しました。これで生徒でも反応した部分としなかった部分の性質の違いがわかり、異なる物質と判断できるようになりました。
 昨年の課題はクリアできました。とくに銀箔を使う方法は、試験管を無駄にしないため、鉄粉法よりも1回あたりの実験コストがむしろ安くなる。
 ただし、銀箔の扱いの工夫や加熱条件の検討などの新たな課題もがあります。
 総じて、銀箔を使う方法なら、現行の鉄と硫黄の実験に代わりうる…とまでは申しませんが、別法としてなら十分なりうる可能性はあると考えています。

 今後も実験条件などの改良や、実際に授業で生徒実験して生徒の様子を見るなど、してみたいと考えています。

 発表は以上になります。ありがとうございました。文

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