0226 クラウンガラスとフリントガラスのプリズム

 こんなのが出てきました。

 開けてみると…プリズムです。
 K フラウン と F フリント とあります。光学ガラスの2大勢力ですね。

 まずそれぞれを手に取ってみると…あれ?フリントの方が重い!大きさは同じなのに…
ということで何gか測ってみました。

K 30.7g  F 45.5g
 やっぱり気のせいではありませんでした。フリントの方が重いです。実はクラウンガラスは二酸化ケイ素が主成分なのに対し、フリントガラスは二酸化ケイ素の他に酸化鉛を多く含んでいます。そのため、フリントの方が重いのです。

 次に、プリズムなんで太陽光を分光させてみました。
それぞれもっともよく分光がはっきり見える角度におきました。

 分光した光をよく見ると、赤の光から紫の光まで(といいたいところですが、夕方近くに撮った写真なので短波長側では散乱し、緑あたりでおわっていますが)の幅は、フリントの方が幅は大きく、クラウンは幅が小さくなっています。
 この幅は色収差、すなわち同じ位置にあったはずの赤い光と紫の光の分散(ずれ)の大きさを意味するので、レンズとしては小さいほうが好ましいです。で、この分散に関してはアッベ数という数値があり、アッベ数が大きいほど、分散は小さくなります。

 さらに、クラウンガラス、フリントガラスに赤・緑・青各色の光を同じ角度からあてて屈折の様子を調べてみました。
 どの色で見ても、クラウンガラスよりフリントガラスの方が屈折しています。つまり屈折率が大きいです。


クラウンとフリントの特徴を表にまとめるとこんな感じです。

種類主成分密度色収差アッベ数屈折率
クラウン二酸化ケイ素小小大小
フリント二酸化ケイ素、酸化鉛大大小大
表 クラウンガラスとフリントガラスの性質

ちなみにDataChefで画像を線画に変換してから

光の道筋に線を引いて

オンライン分度器で入射角や屈折角を測って屈折率を求められないかと思ったのですが、試しに計算してみたところ、一般的に言われている値と大きくかけ離れている(しかも空気からガラスに入るところで計算した屈折率と、ガラスから空気へ出るところで計算した屈折率が大きく異なる)ため、断念しました。