理科準備室の倉庫にある古い教材の中から、大正時代のお宝?が出てきました。
大正15年の6月から9月にかけて、東京府下 仙川 津村薬用植物園をはじめとする各地で採取された薬用植物の腊葉。腊葉(さくよう)とは「押し葉」のことで維管束植物の標本の形式としてはスタンダードなものです。
各標本のラベルの最下行にはTOKYO TSUMURA MEDICAL PLANTS GARDEN とあり、津村薬用植物園が作成したもののようです。津村薬用植物園とは現在の東京都調布市仙川に大正13年から終戦後まであったとされる植物園で、約20万坪の広さをもち当時は東洋一の規模を誇っていた植物園です。
どんなものがあるのか全標本を1枚1枚みてみたいと思います。
和名、学名はラベルに基づいていますので、現在の正式なものとは異なる場合があります。
さぼんそう Saponalia officinalis L, 石鹸草 解説
おほばこ Plantago major, L. var. asiatica, Decne. 車前草 解説
おほやまじそ Mosla Hadai, Nakai 大山紫蘇
オオヤマジソを調べると、学名がMosla japonica var. hadae で出てきますが、「第一次大戦後、医薬品不足からヤマジソ Mosla japonica Maximowiczを栽培し、駆虫薬や消毒薬と するチモールを製造した。たまたま異性体のカルバクロールを含む一新種を発見し、中井猛之進東大教授 はこれをオオヤマジソ Mosla Hadai nakaiと命名した。 」という記述が南雲 清二「薬用植物園の旧跡地を訪ねる(1) -陸軍衛生材料廠薬用植物園- 」日本植物園協会誌 第52号(2017),pp.29-37 にあります。
たんぽゝ Taraxacum platycarpum, Dahlst. 蒲公英 解説
※この学名だとカントウタンポポを指しています
いかりさう Epimedium macranthum, Morr et Decne. var. violaceum, Franch. 淫羊藿(インヨウカク) 解説
ひやくぶ Stemona japonica, Miq. 百部 解説
にがき Picrasma quassioides, Benn. 苦木 解説
うすばさいしん Asiasarum Sieboldii, Miq. 細辛 解説
かわかわ Piper methysticum, Forst. 解説
採集地:裏南洋 ポナペ島(現・ミクロネシア連邦のポンペイ島) 採集期日:大正14年8月
あさがほ Pharbiitis Nil, Chois. 牽牛花 解説
をとぎりさう Hypericum erectum, Thunb. 小連翹(しょうれんぎょう) 解説
かはほね Nuphar japonicum, DC. 川骨 解説
はとむぎ Coix Lacryma-Jobi, L. var. frumentacea, Makino. 薏苡仁(よくいにん) 解説
せいやうのこぎりさう Achillea millefolium, L. 解説
くらゝ Sophora angustifolia, Sieb. et Zucc. 苦参(くじん) 解説
ろーまかみつれ (ローマンカモミール) Anthemis nobilis, L. 解説
いたどり Polygonum Reynoutria, Makino. 虎杖 解説
かみつれ Matricaria chamomilla L. 加密兒列 解説
「かみつれ」は漢字だと「加密列」、「加密兒(児)列」では「カミルレ」と読むのですが、どちらにしろ同じ種をさします。
しゅろさうVeratrum nigrum L. var. japonicum, Bak. 藜蘆
りうのひげ(ジャノヒゲ、リュウノヒゲ) Ophiopogon japonicus, Ker-Gawl. 小葉麥門冬. 解説
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