1383 天気図用紙(3) ラジオ用天気図用紙(クライム)

日本気象協会版ですが、発行が(株)クライムに移りました。

ラジオ用天気図用紙 No.1(初級用改訂版)

改訂版とありますがどこが改訂されたのでしょうか。

これがメインの天気図用紙です。
日付が昭和から平成になったのはいいとして、どこが改訂されたのでしょうか。日本気象協会版と一見変わらないように見えますが…

まず、左側ですが、船舶からの報告が気象協会が発行していた旧版では、「船舶などの報告」が8件しか欄がなかったのが改訂版では10件に増えています。実際、気象通報では船舶などの報告は8件では足りないことが多かったです。その分漁業気象が、14行から12行に減っています。こちらも放送内容は書ききれないくらい多いのですが…。

そして天気記号なのですが、旧版では18個だったのが改訂版では21個になっています。雪強し、雷強し、ちり煙霧が追加されています。さらに「雷雨」が「雷」に、「きり又は氷霧」が「霧」と変更されています。その他、「不明」が「天気不明」に、漢字やかなのマイナーチェンジもいくつかあります。

 地図の方はどうでしょうか。
 大きな変更点は多くの副通報地点と定点観測船や海洋ブイの通報地点が粛清された点です。
 副通報地点に関しては、旧版は日本列島には、点だけあって地点名が書かれていないところが何か所もありますが、それが改訂版ではきれいさっぱり消えていました。さすがに国内は「入電なし」ということはあり得ないから副通報地点は必要ない、ということでしょうか。他にもテルネイ、エストル、シムシル島、パラムシル島、ペトロハブロフスク、プラタス、アッパリ、宮古島、ラサ島、が消え、バグアン⇒バグアン島、サイパン⇒サイパン島、ラォアグ⇒ラワーグが変更、新規はアレクサンドロフスク、オゼルナヤの2か所だけです。
 一方、場所を示す名称はかなり追加されました。シベリア、沿海州、千島近海、千島の東、華中、黄河、関東の東、伊豆諸島、沖縄の南、フィリピンの東、マリアナ諸島、太平洋。また、黄河やアムール川などの大きな川には上流、中流、下流も書かれています。本州東方海上は「日本の東」と「日本のはるか東」に細分化され、揚子江は長江に変更されました。気象庁では、揚子江気団を長江気団と言い換えていることにも対応しますね。
 そして気になる点が2つ。
 1つ目は、ウルップ島です。ウルップ島は通報地点でしたが、5年位入電がなかったためか通報地点から外されました。しかし、改訂版には地名だけ残っています。ウルップ島は千島列島の一つの島なので、改めて場所を示すためだったら「千島列島」があるのでいらないことになります。おそらくこれは改訂時に消し忘れたのではないでしょうか。

2つ目は、天津の位置が微妙に異なる… 

裏表紙は、気象入門図書のご案内。

No.2(中級用改訂版)も、同じ点が改訂されています。

こちらは、No.1ですが、値段が600円+税 と値上げしてしまいました。
そしてもう一つ、「ラジオたんぱ」の文字が消えています。「ラジオたんぱ」の愛称は、2004年4月1日より現在の「ラジオNIKKEI」に変わったため、先ほどのは2004年以前、こちらは2004年以降のものとわかります。

そしてこちらは株式会社クライム気象図書出版のラジオ用天気図用紙。発行年2009年8月、No.2は発行年2009年2月という情報があるが…

 でもって、このラジオ天気図用紙、メルカリなんかで定価より高い値段で売り出しているものが見られます。調べてみるとamazonも楽天ブックスでも紀伊国屋書店のウェブストアでも注文できない。さらにはクライム気象図書出版が廃業したなんて話もあれば、2017年8月23日時点では営業していたという報告もあり、情報が錯綜していますが、気象関係者の間では知らない奴はモグリだといわれている津村書店では売っていました。それだけじゃありません。「※ 版元再販出来!。定価税込880円」と、天気図用紙難民の気持ちをすべてを知っていたうえでの情報提供。さすがっす。
 廃業説が出たのは2017年ごろ。ちょうど日本地図共販の破産の時期と一致しています。もしかしたら日本地図共販に取次いでもらっていたのが、破産したため、一般的な小売との販路が断たれたのかな、と思っていたのですが、トーハン日販も現在は扱ってないけど以前は扱っていた痕跡が見られましたので、日本地図共販の破産が原因という可能性は消えます。
 気象通報も1日1回になったし、そんなに売れないでしょうから、大手の取次には載せず、マップショップ ぶよお堂や津村書店のような、地図や気象の専門店だけが細々と直接クライム気象図書出版とやり取りしている、という感じでしょうかね。あくまでも憶測ですので、詳しいこと知っている人は教えてくれると嬉しいです。

(追記2023/5)
 おっと「マップショップ ぶよお堂」って、日本地図共販、内外地図とともに3社で国土地理院の地形図を元捌していた株式会社 武揚堂のことだったのね。
 なるほどだとしたら、独力で出版社から天気図用紙卸せるわな。

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