平成24年度版の教科書の見本本を初めて見たとき、おやと思う表記を見つけました。
(東京書籍「新しい科学2 p.86」
モノグリセリド!?
今までは中学理科の世界では脂肪は分解されると脂肪酸とグリセリンと相場は決まっていたのに!
その教科書にはグリセリンという言葉は跡形もなくなっています。
教科書によって「花弁」「花びら」がバラバラだったのを「花弁」で統一したという話がありましたが、今回はちょっとわけが違います。同じものをどう呼ぶかではなく、モノグリセリドとグリセリンは別の物質ですから、違う内容に変更された、ということになります。しかもテストによくでる基礎・基本ですし…。
グリセリンは3つの炭素を一列に並べて、それぞれの炭素に-OH基をくっつけた物質です。
3つの-OHに脂肪酸がそれぞれ1本ずつくっついたものが、脂肪です。
つまり、脂肪はグリセリンと3本の脂肪酸がくっついてできている物質です。
消化によって、3本の脂肪酸がグリセリンからいったん離れます。
そして、小腸の柔毛で吸収されたあと、再び-OHと脂肪酸がくっつき、脂肪に戻ってリンパ管を流れます。
というストーリーだったのですが、
モノグリセリドは、グリセリンの3つの-OHのうち、真ん中の-OHにまだ脂肪酸がくっついている状態の物質です。脂肪酸が3本とも離れるわけではなく、1本はグリセリンにくっついたまま柔毛で吸収されるのです。
とすると気になるのは
1.脂肪は消化によって、グリセリンまでは分解されないということでしょうか?(今まで教えていたのはいったい何だったんだ!という別の気持ちはおいといて)
2.この変更は、いったいどういう事情でこうなったのか?ここ数年の研究で「実はグリセリンでなくてモノグリセリドだった!」とかわかってきたのでしょうか?
新指導要領でイオンだ放射線だ言われていて、このあたりは従来どおり…と思って甘く見ていたらとんでもない伏兵がいました。もしかしたら他にも隠れているかもしれませんね。
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