1751 陸軍板橋火薬製造所跡(2)

野口研究所の後編です。

銃器庫

・ 構造は鉄筋コンクリート造平屋建、 内部は木造二階建の棚床が設置されている。
・ 建物西側 ・ 東側の窓部分に 1 台ずつ、 南側の出入口 2 ヶ所に 1 台ずつシャッターが設置されているが、 東側の窓部分はシャッターが除去されている。



爆薬製造実験室

・構造は鉄筋コンクリート造の平屋建築、屋根は切妻屋根。 トタンによって外壁が後補される。
・ 建築年代は昭和 10 年 1 月。
・ 現在、 屋根に穴が開いており、 雨水により足場組等に腐食が見られるなど、 保存環境は好ましくない。
・ 平成 29 年以前は史跡指定地外に位置していたが、 平成 29 年に主要施設である爆薬製造升部分 ( 全体のおよそ 1/3、 501 号室部分 ) の曳家工事を実施し、 180 度回転して現在の位置に移設された。

常温貯蔵室

・ 旧 ・ 火薬製造所エリアの西側に位置し、 南側には土塁 ( 北側 )、 東側には土塁跡、 西側は爆薬製造実験室が配される。
・ 詳細な設置年代は不明だが、 昭和 9 年の図面に存在が確認できるため、 昭和 9 年以前に設置されたものと考えられる。
・ 構造はコンクリート造で、 上下 2 段 8 列の棚構造で、 16 の鉄製扉を有する。 扉は貫抜き錠で、 現状では 8 面のみ現存する。 各室はコンクリート製仕切りで区切られ、 背面は木板に漆喰塗りである。
・ 一室の背面には、 「十条技術課 検」 という検印が確認できる。
・ 扉の開閉は固まっており、 困難である。

加温貯蔵室

・ 旧 ・ 火薬製造所エリアの東側に位置し、 南側には土塁 ( 北側 )、 東側には加温貯蔵室試験火薬仮置場基礎、 西側は土塁跡が配される。
・ 東西壁面には建設時のものと考えられる、 編み入りガラスを収めた小さな横軸回転窓が設置されている。
・ 南面は、 東西の壁面と中央の出入口扉両脇の壁面から壁が付き出しており、 その壁の小口には 4 ヶ所の大きな鉄製蝶番のようなものが現存する。
・ 南北面にある扉、 北面のシャッターが配されるが、 これらは近年の更新と思われる。
・ 鉄筋のかぶり部分コンクリートの爆裂や、 コンクリート基礎の破損により、 保存状態は好ましくない。



加温貯蔵室・試験火薬仮置場

・ 旧 ・ 火薬製造所エリアの東側に位置し、 南側には土塁 ( 北側 )、 東側には土塁、 西側は加温貯蔵室が配される。
・ 加温貯蔵室に併設していた建物で、 加温貯蔵室と廊下が連結する形で、 基礎のみが現存する。
・ 床面に耐火煉瓦を敷き、 鉄板を覆った耐火構造が認められ、 床下を這うように屋外に排水することができる鉄製配管が確認できる。

土塁 ・ 発射場基礎

・一般的には火薬庫など火薬を取り扱う施設を囲むため機能を有する。
・当初は発射場を取り囲むために設置されたが、昭和戦前期以降、石神井川沿いの地帯に「常温貯蔵室」などが建設されたことから、それらを取り囲むために土塁も増築され、火薬を取り扱う施設を囲う機能も付与された。
・現在は旧野口研究所跡地内に東西に3本の土塁が確認されている。

・発射場基礎は旧・火薬製造所エリアのおよそ中央に位置し、北側には土塁(北側)とコンクリート擁壁、西側には銃器庫、東側は発射場、南側には燃焼実験室が配される。


・土塁の土留が、 土塁 ( 北側 ) の①西端部分と、 ②南側斜面西端部分に 2 ヶ所に設置されている。


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