2184 秋田大の通信教育を始めた話

秋田大の通信教育を始めた話

※この記事は旧ブログで2019-12-01に更新したものです。現在は修了しています。

 学生時代は化学を専攻していたのですが、当ブログを見てもわかるように化学よりも地学ネタが多かったりします。理科関係の仕事も教科書の仕事はさすがに化学が中心ですが、それ以外は地学を担当することが多いです。

 地学でも気象に関しては気象予報士の資格が役に立っていますし、天体は中高の範囲を超えるような話題に触れることもほとんどないので、それほど困る場面はありません。が、たまに専門的な話を聞くと???となる自分がいます。
 地学領域で最も手薄なのが大地のところです。たとえば古生物学については街化石マップなどを作っていながらも、一般向けの本を数冊読んだくらいの知識しかありません。中学生相手に授業をするにはそれで困ったことはありませんが、個人的には、もうすこし地球科学(気象学や天文学以外の地学領域)を系統的に学びたいなと思っていました。

 具体的に気になっていたのが秋田大学理工学部の通信教育。国立大学唯一の通信教育らしいですが、地球科学コースというのがあり、一般地質学、資源と地球環境、地球化学、鉱物学、岩石学、鉱床学、エネルギー地質学、応用地質学、応用地球物理学、地震、火山と学べます。講座を知ってから1年以上仕事が忙しいといって二の足を踏んでいたのですが、これではいつまでたっても先に進めないということで、先日ついに申し込んだ次第なわけです。

 ちなみに銀行口座を持ってないということで送金は口座振り込みではなくて、現金書留か郵便為替。この令和の時代に…!という気もしますがそれ以上に忙しくて平日の昼間にそのために郵便局など行けるわけもありません。夜のゆうゆう窓口で郵送料の高い現金書留を送ったわけです。銀行振込なら手数料タダなのに…。

 1週間後、教材一式がどさっと2箱届きました。いよいよスタートなのですが…

 本当は「一般地質学」で出てきた鉛直線偏倚の話をしたかったのですが、前置きにしてはここまで長すぎたのでまた今度。

鉛直線偏倚

山形大学通信教育講座の「一般地質学」の復習がてら、マニアックに掘り下げてみました。

鉛直線偏倚 の話
(1)インドで地図を作ろうとした。
(2)地図を正確に作るために鉛直線(地球の中心の方向)を調べる必要がある。
(3)ふつうはそれは重力の方向と等しいから、おもりをつけた糸を垂らせばその向きでわかる。
(4)ところが、インドはヒマラヤ山脈やチベット高原などでかい質量がある。
(5)そうすると重力もその影響を受け、わずかだが、おもりをつけた糸は、海綿状に何もない海よりも、でかい山がある方に傾いてしまうはずだ。
(6)この、地球の中心の方向に向かう本当の鉛直線と、おもりをつけた糸による実験値として鉛直線、両者のスレを鉛直線偏倚という。
(7)だけど実際インドで糸をつるしてみると鉛直線偏倚量が思ったより小さい。つまり、山の巨大な質量を認識してない。
(8)南米のアンデス山脈でも同様な結果に。下手すりゃ山よりも海側の方におもりが傾いているとか。
(9)こいつはどういうことか。さあみんなで考えよう。

(10)海と山を比べてみると、たしかに海面上では山の方が質量は大きい。でも海面の下は?
(11)高い山はかなりの深さまで密度の小さい物質でできている。その下に密度の大きい物質がある。海や低地は密度の小さい物質がないか、あっても山に比べ浅いところまでしかなく、その下にやはり密度の大きい物質がある。
(12)この考え方こそがアイソスタシー isostasy 地殻均衡 である。
(13)ちなみに密度の小さい(2.8-2.9)物質というのが「地殻」でその下の密度の大きい(3.3)物質が「マントル」

…というアイソスタシーの話なのですが、ここで注目したいのが鉛直線偏倚(ヘンイ) deflection of the verticalです。
「偏倚」なんて言ったら、不思議でちょっと怖くてゾクゾクするような、江戸川乱歩チックな雰囲気をもよおす言葉ではないでしょうか。「奇譚」に近いイメージといったらわかるかな。
でも漢字の意味からいえば「偏」も「倚」もかたよりという意味の字なんですけどね。
ただ「倚」という字はあまりみかけませんね。調べてみたら常用漢字ではありませんでした

古い字(用語)っぽいですね。

たしかに「鉛直線偏倚」で論文を検索すると古いものばかりです。

Tsuboi Chuji:41.The Deflections of the Vertical, the Undulation of the Geoid, and Gravity Anomalies(41.鉛直線偏倚,ジオイドの凹凸と重力異常),Bulletin of the Earthquake Research Institute, Tokyo Imperial University,15(3),650 – 653,1937
福永三郎:重力異常から求めた日本中部のジオイドと鉛直線偏倚,地震,12(8),331-338,1940

坪井忠二:BESSEL FOURIER級数を利用 して重力異常から鉛直線偏倚を求めること,測地学会誌,1(1),25-28 ,1954

早津昭男:重力異常から鉛直線偏倚を求めるためのSTOKES-MEINESZ公式の近似表現,測地学会誌,1(2),58-61 ,1954

いまは「鉛直線偏差」といわれています。
中根 勝見, 藤原 智, 大滝 修:鉛直線偏差の精密な内挿,測地学会誌,41(2),161-169,1995
中根 勝見:日本の鉛直線偏差2000.写真測量とリモートセンシング,41(5),15-19,2002

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