0062 【実験】エタノール-水-飽和食塩水の液層をつくる

2023年2月10日

 水と油は、どちらも液体ですが、混ざらずに2層に分かれてしまいます。
 では、水とエタノール、あるいは水と食塩水の組み合わせでは混ざらずに2層に分かれることはありうることでしょうか。一見、エタノールや食塩水が水で薄められてしまうだけじゃないかと思いがちですが、密度が違う液体ならば、うまく2層に分かれるようにつくることができるのです。実験してみましょう。
 中学校に限った話ではありませんが、理科の授業があまりに課題解決(問題解決)に重きを置いているので、観察や実験が何らかの課題を解決するための手段という位置づけになっています。それに反対するわけではないのですが、そうすると今回のような「これをしたからと言って何かの課題が解決するわけではないけれど、ただ単に見て、あるいはやっていて楽しい」という観察・実験の居場所が、理科の授業の中では、理科に関心のない生徒の気を引かせるためにやることはあるかもしれませんが、それを除けばせいぜい導入で教師がやる演示実験程度といっていいでしょう。一方、科学部などの部活動や、科学博物館などでは、アミューズメント的な色彩が許される(というか求められる)ので、むしろ今回のような「お楽しみ実験」みたいなものが主流ですよね。で、この「課題解決の手段としての実験」と「お楽しみ実験」の間には意外に分厚い壁があって、それが「(理科の授業でやる)実験は楽しい」という命題に対する教師と生徒(あるいは実験をやらせたい大人と実験をやる子供)の感覚に齟齬が生じる原因の一つのような気もします。

水と飽和食塩水の二層をつくる

 異なる液体の層をつくるには密度の大きい飽和食塩水を入れてから、メスシリンダーを斜めに傾けてそっと水を入れ、さらにそっとエタノールを入れるという方法もあります。
 しかし、高倉健なみの不器用な男である私は、そんなまどろっこしい事やっていたら日が暮れてしまいますし、そうでなくても失敗してしまいそうです。そこで、しんきろうの時にやったように、先に密度の小さい液体を入れ、その後にメスシリンダーの底まで入れたガラス管を通して、密度の大きい液体を入れる、という方法をやってみました。こうすると、結構乱暴にやってもうまくいくんだな。

 メスシリンダーに半分程度水を入れます。そこに太めのガラス管か、ホースなどを差し込んで、飽和食塩水を流し込みます。ここでは両者の違いが分かるように、飽和食塩水を黄色に着色しています。

 無色の水と黄色の飽和食塩水がきれいに分かれました。

エタノール-水-飽和食塩水の三層をつくる

 まず、液体に色をつけます。3つの液体で密度の大きい飽和食塩水を赤くするため、食用色素「赤」を入れました。次に、密度の小さいエタノールを緑色にしようと食用色素「緑」を入れたら、どういうわけだか青(ブルー)になってしまいました。
 もちろん、食用色素「緑」を水に入れたら緑色(グリーン)です。ですが、今回は、水はそのままで色をつけないでいきます。

 密度の小さい順に入れていきます。まずはエタノール(青)、次に水(緑)、そして飽和食塩水(赤)です。

うまく3色になったので、
この境目を拡大してみましょう。

 そういえば、赤と緑が隣り合っていますが、この色の組み合わせは区別がつきにくい人がいる、ということで、水のところは色素入れなくていいや、無色でいこうとやってみました。
 青いエタノール入れて、次に無色の水を入れても、水の相が緑になってしまいました。もしかして色素がエタノール相から水相へ抽出されてしまったってやつですか!


この食用色素「緑」とエタノールの関係、調べてみる必要がありそうだぞ…。