今日は、この坂道を層理面だとして、その走向と傾斜を図ってみましょう。
走向とその表し方
走向(strike)とは層理面(ある地層の上面または下面)と水平面と交わる直線の向きを指します。
その向きは直線が北を基準として東または西に何度ずれているかで表現します。例えば、次のような赤い線、青い線が走向だとして、その向きを表現してみましょう。
赤い線、青い線と南北の線の間で角度を測ります。今回もオンライン分度器を使ってみました。
南北の線との角度が赤い線は西に28度、青い線は東に72度ですので、それぞれN28°W、N72°Eとなります。もし、ぴったり南北もしくは東西の場合はNS、EWのように表します。
なお、角度の数値θは0°<θ<90°の値をとります。例えばN100°Wみたいに90°超えちゃったら、それってN80°Eですから…。
傾斜とその表し方
傾斜(dip)は、層理面の傾きの角度の大きさと、層理面が下がっている方向(傾斜の方向)です。
傾きの角度は、水平だとが0°で、角度が大きくなると急勾配ということになります。方向については層理面がどちらに下がっているかということで、走向がNθEの場合は傾斜の方向はNWかSE、走向がNθWの場合は傾斜の方向はNEかSWとなります。
つまり、走向と傾きの角度が同じでも、走向のどちら側に傾いているかで2つのパターンがあるというわけです。
クリノメーター
そこでクリノメーターを使ってみます。
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この画像の左側は水準器です。
右側は方位磁針のようですが、よく見るとEとWが逆ですし、垂針と呼ばれるハート形のおもりがついています。
では実際に、クリノメーターを使って走向と傾斜を測ってみましょう。
走向を測るには、層理面に対し、クリノメーターの長い方の一辺を当てます。このとき、磁針のどちらでもよいので、北に近い方から外側の角度目盛りで、方向と値を読みます。たとえば、磁針がNとWの間で46°を指していれば、走向はN46°Wとなります。
ちなみにこの写真は、坂道の上にそのまま置いているようにみえますが、そうではなく、写真の下側にあたるクリノメーターの辺は、ちょっとだけ持ち上げています。
傾斜(dip)の測定は、クリノメーターの長い方の辺を、走向と直交するように層理面にあて、ハート形のおもり(垂針)が目盛り板にふれないで下がるようにします。その時、垂針の中央部が指す角度を、内側のめもりをつかって読みます。傾斜の方向は、方位磁針を使えばわかりますね。
13°NEってところかな。
なお、最近はクリノメーターはスマートフォンのアプリも登場して、便利な時代になりました…。
藤井幸泰・神崎裕,地質踏査でデジタルガジェットを使いこなす:その2 クリノメーター,応用地質, Vol.59, No.4, pp.219-224, 2018
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