PR

0061 【物質のすがた03】身の回りの物質とその性質(3)  密度

金属どうしを見分ける

 前回で、金属共通の性質はわかりましたた。
 でも、それらの性質があるかないか調べても、金属どうし、たとえば鉄とアルミニウムを見分けることはできませんね。どちらもあるに決まっているわけですから。

 複数の物質を見分けるには、それらの性質の違いに注目しなければなりません。これは、あまり教科書では触れていませんが、着眼点としておさえておきたいところです。
 たとえば、飲み物の缶が鉄なのかアルミニウムなのかを見分けるには、磁石を近づけて、くっつけば鉄、つかなければアルミニウムと見分けることができます。これは鉄とアルミニウムの性質の違いを利用したものです。
 何種類もある金属を見分けるには、金属それぞれで違う性質に注目する必要があります。

課題:どのようにしたら金属どうしを見分けることができるだろうか。

 そこで注目したのが重さ。理科ではかっちょよく「質量」といいますが、質量の大小で見分けられないでしょうか。

密度という考え方

 質量の大小を比較するわけですが、比較するには、ある程度条件をそろえてやらなければなりません。どでかいアルミニウムのかたまりと、10円玉を比べてアルミニウムの方が重い(質量が大きい)というのは、そりゃそうなのですが、そういう話ではないのも、分かっていただけると思います。
 体積をそろえたうえで、質量の大小を比較するのですね。同じ大きさの缶で、鉄だと重かったのが、アルミニウムだと軽い。そうして缶を見分けることもできます。
 体積をそろえたうえで質量を比較する、これにうってつけなのが、「密度」という量です。単位体積あたりの質量が密度になります。

 密度は、アルミニウムは2.70g/cm3、亜鉛は7.13g/cm3…と、物質によって数字が決まっています。なので、なんかよく分からない物体があったとき、密度を調べたら7.9g/cm3くらいなら、これは鉄だ!と分かるわけです。(鉄より密度の大きい物質、小さい物質が混ざって、たまたま密度が7.9g/cm3くらいになった、というケースも考えられますが…)

単位体積当たりの質量

ところで、「単位○○あたりの××」とかいうと小学校の算数で散々苦労したことを思い出しそうですね。割合とか計算とか。

では、こんなのわかるかな。
例1:ミカン5個で150円だった。このミカンの単価(1個の値段)はいくらか。
例2:3時間で12km歩いた。このときの時速はいくらか。

例1は 150円÷5個=30円/個
例2は 12km÷3h=4km/h (hはhour=時間のこと)ですね。

例1は 単価を値段÷個数で求めましたが、単価とは単位数量(1個)あたりの値段です。
例2は 時速を距離÷時間で求めましたが、時速とは単位時間(1時間)あたりの距離です。

そして 密度は単位体積(1cm3)あたりの質量です。
ここまで分かれば、 質量と体積から密度を求める式を考えられませんか。

単価とは単位個数(1個)あたりの値段  単価=値段÷個数
時速とは単位時間(1時間)あたりの距離 時速=距離÷時間
密度とは単位体積(1cm3)あたりの質量 密度=???

そう、密度=質量÷体積 です。
教科書には
           物質の質量(g)
密度 (g/cm3)= ーーーーーーーーーーーーー
           物質の体積(cm3)

と表記されています。

 さらに単位にも注目してみます。質量の単位はg、体積の単位はcm3ですが、密度の単位はg/cm3(グラム毎立方センチメートル)です。ここで、単位にある/(スラッシュ)は何でしょうか。読みだと「毎」にあたるところですが…。

 そう、パソコンのキーボードでは/は「割る(÷)」の意味でしたね。1/3(3分の1)は1÷3ですものね。そういう目でg/cm3の単位を見ると、g÷cm3、あ、公式通り質量÷体積じゃないですか。

 そういえば、単価の「円/個」、時速の「km/h」も同じパターンですね。
 ということで、密度の計算をするときは,ぜひ単位も一緒につけて計算してみてください。

例題:8g/cm3の密度の物体が10cm3あると、その質量は何gか。

8g/cm3 × 10cm3 = 80g

 ここで8g/cm3は分母に、 10cm3 は分子にcm3があるので、かけ算すると約分して消えてしまい、gだけが残るのです。

 もし 8g/cm3 ÷ 10cm3 とか  10cm3 ÷ 8g/cm3 で計算すると、単位がgとならない。つまり式の間違いに気付くことができるのです。これってすごくない?

ものの浮き沈み

 密度を利用すると、物の浮き沈みがわかります。
 例えば水の密度は1g/cm3ですが、氷の密度は約0.92g/cm3。氷よりも水の方が密度が大きいため、密度の小さい氷が上、大きい水が下、すなわち、浮くわけです。
 一方、鉄の密度は約7.9g/cm3で、水の密度より大きいので、鉄が水の下になる、つまり沈みます。

このように
 液体の密度>固体の密度 ならその固体は液体に浮き
 液体の密度<固体の密度 ならその固体は液体に沈みます。

これは固体と液体の場合だけでなく、液体と液体でも混ざらずに上下に分かれることがあります。

ということで、実際に物質の質量と体積を測って、密度を計算してみますが、その前に、体積を測るメスシリンダーと質量を測る上皿天秤の操作法についてみていきましょう。

その他の密度ネタ

水の密度
気体の密度
液体の密度=固体の密度 の場合、どうなる?

コメント

タイトルとURLをコピーしました