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0156 理科ねっとわーくを覚えていますか。

 1億3000万の 理科関係者 の皆さん、こんにちは。
 皆さんは あの 「理科ねっとわーく」 を覚えていますか。

JSTの提供終了

 そう、「理科ねっとわーく」とは、JSTこと科学技術振興機構が平成15年3月から公開していた、科学技術・理科教育用デジタル教材が無料で使い放題なサイトです。
 ここのデジタル教材は、「使える」ものが多く、授業でよく使わせていただいたものです。
 都中理(たぶん)で理科ネットワークの使い方の研修会をやっていて、それに参加したのも覚えています。 が、平成28年4月からメンテナンスのためシステム停止。そのまま8月に公開再開を断念しました。
その時送られたメールです。

From: 理科ねっとわーく事務局
日付: 2016年8月29日 6:40
件名: 理科ねっとわーくシステム提供終了のお知らせ

理科ねっとわーくご利用の皆様へ
日頃から理科ねっとわーくをご利用頂き誠にありがとうございます。

今回のシステムメンテナンスのための長期停止につきまして、ご利用の
皆さまには、多大なご迷惑をお掛けして誠に申し訳ございませんでした。

理科ねっとわーくは、昨今のインターネット環境上でのコンピュータウィルス
蔓延などによる個人情報の流出の危険性等の情勢の変化に対応するため、
平成28年4月よりシステムを停止させていただき、公開再開に向けての検討や対策を
重ねて参りましたが、システムの安全性確保と復旧までに
膨大な時間とコストがかかることが判明したため、誠に残念ながら
公開再開を断念することとなりました。

運用開始から15年が経過し、その間に多数のデジタル教材を制作し
提供を続けて参りましたが、ご利用の皆様の安全と安定的な運用を最優先に
考えた結果、提供を終了させて頂くことといたしました。
長らくのご利用に心より感謝申し上げますとともに、何卒ご理解を
賜りますようお願い申し上げます。

今後当面の間、学校授業等でのご活用を希望される場合は、コンテンツを
オフラインメディアにてご提供させていただきたいと考えております。
(理科ねっとわーく会員登録者に限ります)
コンテンツ郵送のご依頼につきましては、下記の連絡先までご連絡を
お願い申し上げます。
【理科ねっとわーくサポートデスク】
電話 : 012-015-2251
FAX : 03-5745-9772
※電話受付時間: 9:00-18:00(月-金)

なお、メールマガジン「理科ねっとわーくからのお知らせ」に配信登録いただいて
いた方につきましては、今後、理数学習推進部が提供する別のメールマガジン
にて、これまでと同様の情報を配信させていただく予定です。
新しいメールマガジンの配信は今秋以降を予定しております。配信を希望されない
方は、お手数ですが、新メールマガジンにてご案内する配信停止方法に沿って
お手続きくださいますようお願い申し上げます。

その他、理科ねっとわーくに関するお問合せは、理科ねっとわーく事務局
アドレスにお願いいたします。
Email: rikanet-support@jst.go.jp

これまでご愛顧いただきました皆様にはご迷惑をおかけすることとなり心より
お詫び申し上げます。
何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
今後とも当機構の業務をお引き立てくださいますようお願い申し上げます。

—————–
国立研究開発法人 科学技術振興機構

理科ねっとわーく事務局 からのメール 「理科ねっとわーくシステム提供終了のお知らせ」  2016年8月29日 6:40 送信

 システムの脆弱性が見つかったけど、対策しようと思って業者に見積もりを出したらとんでもない値段になったので、セキュリティリスクを考えると捨てざるを得なかった、という感じでしょうか。
JSTは過去に2回(平成23年平成25年)ホームページが改ざんされたことを考えると、やむを得ない判断かもしれません。
 もちろんそれでも、その公共性、公益性から理科ねっとわーくの廃止は当時多くの人に惜しまれましたものです。

注意喚起

 その後、理科ネットワークの存在が忘れ去られかけていた頃、JSTのサイトに、こんな注意喚起がありました。

2016年 10月 13日 その他
【重要】注意喚起
現在、WEB上で理科の教材を検索すると理科ねっとわーくを名乗るJST外のサイトに繋がり、アダルトサイト等の不適切なサイトに誘導されるとの連絡が寄せられております。JSTでは理科ねっとわーくの提供を終了しておりますので、類似サイトには接続されないよう、くれぐれもご注意ください。

過去の新着情報|科学技術振興機構  https://www.jst.go.jp/cpse/risushien/news/archive.html より

 「本物」がいないすきに、同名のぁゃιぃサイトを開設して、SEOをちょっとすれば偽サイトが検索上位に来る。そして閉鎖を知らないで理科ねっとわーくを探しに来た人を誘導する。後は悪いことし放題。しかし悪いことをする人はよく考える。
 ですが、きっと引っかかった人がいてひどい目にあい、その矛先がなぜかJSTに向かって注意喚起となったのでしょう。

知られざる復活

 多くの理科教育関係者が失意のズンドコに陥って、1年にもなろうとした2017(平成29)年の8月31日、まさかの復活!
 なお、JSTから国研こと国立教育政策研究所に移管して復活しています。
 しかし理科関係者には朗報なはずなのに、全くと言っていいほど話題にもなりません。閉鎖当時に話題にしていたはずのところでさえ、完全スルーです。まるで緘口令でも敷かれたかのようです。
 私の知る限り唯一、閉鎖されたJSTの旧・理科ねっとわーくが、復活の旨と新しいリンク先を紹介していただけです。(現在はリンク切れ)

古い技術

 しかし、復活が周知されていない以上の問題点が隠れていたのです。それは何でしょうか。

 「理科ねっとわーく」には、私が製作にかかわったデジタル教材が2つありました。

実施困難な実験・観察集

 https://rika-net.com/contents/cp0490/start.html 2007年1月制作
 
 地学用の前線通過のところでちょっとお手伝いしました。
 
 しかし、今、CBTの問題作成にも使えるかもな…と思って、前線通過時の空の様子のタイプラプス動画と気象情報が載っている画面を見ようとすると、
 
「Adobe Flash Player」のサポートは終了しましたというもっともな文言が…。

実施困難な実験・観察集2 

https://rika-net.com/contents/cp0490a/start.html 2008年1月制作
 こちらも地学用の雲の動きの定点観測のところでちょっとお手伝いしました。
 のですが、トップ画面を表示することからしてすでに実施困難になってしまいました。

中のコンテンツもやっぱりFlash Playerがないので見られません。

 理科ねっとわーくが復活する直前の2017年7月にAdobeはFlashをやめることを公表しました。もうこの時点でFlashは新しい技術にかなり押されていたのです。
 もちろん、脱Flashのバージョンアップをすれば使えるようになるのでしょうが、なんといっても予算が出なくて無理でしょう。
 そうこうしているうちに、気象のデータなんかは特に古い日付になってしまいました。

 一方、JSTで理科ねっとわーくのコンテンツを作成していた2007~2008年というと、WindowsVistaがリリースし、YouTubeも出始めました。SNSではmixiが全盛期で、FacebookやTwitterはまだ知名度が低かった頃です。
 それが今では、教室でのICT環境も大きく進歩し、ギガスクール構想で一人一台端末、高画質な動画でバーチャルの時代です。そんな時代にFlashを使用するようなコンテンツは、使えたもんじゃないです。まあ、あと何年かしたら阿部 寛のホームページのように一周回ってすごい!と思われるかもしれませんが。

 一方、国研に移ってからはデザインをリニューアルしたり、申請不要で利用できる範囲を広げたりしましたが、コンテンツであるデジタル教材の更新はありませんでした。
 これでは、せっかく復活しても使えそうなコンテンツが少なく、NHK for schoolあたりにその役割を取って代わられそうです。

陽はまた沈む

 ということで、国研の理科ネットワークのサイトの「おしらせ」が2022年10月28日に更新されました。

2022-10-28平素は「理科ねっとわーく」をご利用いただき誠にありがとうございます。
国立教育政策研究所は、平成29年度より「理科ねっとわーく」を運用して参りましたが、今後の安定的なサービスを提供することが難しく、全体の利用状況を鑑みサービスを終了させていただきます。

・提供終了サービス:理科ねっとわーく https://rika-net.com/
・サービス終了日:令和4年12月31日
・お問い合わせ先:国立教育政策研究所 理科ねっとわーく窓口
         メール:contact@rika-net.com

お知らせ|理科ねっとわーく https://rika-net.com/index.php

 「全体の利用状況を鑑み」という言葉を裏付けるかのように、私の周りではまったく話題にも上りません。もしかしたら、多くの理科の先生にとっては、JSTが運営を終えた時に理科ねっとわーくは終わっていて、復活なんかしていなかったのかもしれません。

 最後に、私が授業で「発展型気象教育教材」というデジタル教材を電子黒板で使っていたときの写真を。2011年2月9日撮影。ああ若い…

 さよなら、理科ねっとわーく

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