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0063 液体の密度=固体の密度 の場合、どうなる?

※本記事は旧ブログ2012年4月18,21,30日公開の記事をリライトしたものです。古い情報である点ををお含みおきください。

初めての理科の全国学力調査

 4月17日(火)に、全国の小6・中3生を対象とした全国学力・学習状況調査が行われました。
今回は国語、算数・数学のほかに初めて理科が加わりました。
 つまり、文部科学省は、中学校の主要3教科は国語、数学、理科といっているわけだな(違うって)

 さて、そうすると気になるのは(生徒のでき具合はおいといて)、どんな問題が出たか。なんといっても初めての理科のテストなので、どういう出題なのでしょう。試験後に余った問題冊子を見せてもらいました。問題は国立教育政策研究所のサイトからもダウンロードできます。

 中身ですが、大問4題で、物化生地バランスよく1題ずつ、というのは想定の範囲内。出題形式は、選択あり、語句などの短答、計算あり、記述あり(作図なし)。
 面白いのは4題とも、学校でのポスター発表や博物館の地層見学会、家庭内などの身近なシチュエーションをもとにしたストーリー仕立てで、ストーリーの途中途中に小問が登場する形式。問題を回答するにあたって必要でないイラストなども多く、いい意味で冗長といったらいいのか、楽しく問題が解けそう。ただ、難易度はあまり高くなく、教科書程度で、いわゆる「ひっかけ」問題など、意図的にケアレスミスを誘うような出題はなかったです。
 総じて、さすが全国学力テスト!というような良問が多い印象でした。

液体の途中でたまごを止める実験

 とりわけ、4番のたまごの実験は、大学の理科教育法1の講義で実際にやってみました。 まず,空の水槽に古い卵を入れておき,

水を入れて,古い卵の全体が水に沈んでいるようにします。

 次に,ゴム管のついたろうとを使って,濃い食塩水をゆっくり入れます。このとき、ゴム管の先は水槽の底に置くようにします。卵が立ってきましたね。

 さらに食塩水をゆっくり入れると、卵が水槽の真ん中で止まっています。

 水の層に食紅で色をつけてから実験をしてみました。

水槽中の液体の上部は水,下部は濃い食塩水と,混ざらないで,2つの層に分かれているのですね。
 卵は水と食塩水の間で止まっていて、上下に動かそうとしても元に戻ってしまいます。

たまごと密度が同じ食塩水

 出題は、姉と弟の会話があって、それをもとに出題がされています。その中で、水槽の中でたまごが止まっている状態を、弟の和宏さんは「水と濃い食塩水が混ざって,卵とちょうど同じ密度の食塩水になった」と考えました。水も食塩水も色をつけてないので、まさか分かれたままということはないだろうと考えたのですね。
 そんな状態を作ってみました。

 まず、濃度14%の食塩水だと、卵は浮きました。

 そこから水を加えて濃度を下げていきます。13%でも、浮いています。

12%

11%。浮いている部分は小さくなってきているようです。

10% 上から見ると、水面から出ている部分があることがわかります。

9% まだなんとか浮いています。

8.2%でようやく沈みました。

 が、この間、卵はゆっくり動いて、最終的には浮くか沈むかするのですが、水中で止まる、ということはありませんでした。
 卵の密度=食塩水の密度 ならば、卵にかかる重力と卵にかかる浮力がつり合い、卵は、無重量状態のようになっています。すると、液体の動きを受けて卵が少しでも動くと、等速直線運動をして上に行けば浮くし、下に行けば沈むわけです。
 液体の密度=固体の密度 の場合、単に浮きも沈みもしないというわけでもないのですね。
卵が止まったまま力を受けることがなければ水槽の中で止まるのでしょうが、水を入れながらの今回のやり方ではそれは無理のようです。
 ダイビングの「中性浮力」状態だと少ない力で効率よく泳ぎ回ることができるそうですが(未体験のため伝聞推定)、それみたいなものでしょうか。また、バス釣りのサスペンドタイプのルアーも浮きも沈みもしないというのですが(これも直接見たことはない)一度、実物で確認してみたいものです。

 最後に食塩水側を緑色にしてやった実験です。

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