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1305 田老町誌(第一集) 防災の町

 理科室の本棚からぽろっと出てきた本です。
 防災の町 田老町教育委員会

 宮古市田老町は、明治29年、昭和8年など何回も津波の被害を受けてきました。と同時にさまざまな津波対策を施しすことで津波に真っ向から対峙した町でもあります。まさに「防災の町」ともいえるでしょう。

 奥付を見ると田老町誌の第一集となっています。昭和46(1971)年。50年以上前の本です。

 ちなみに宮古市立図書館のOPACで「田老町誌」で検索したら、田老町誌(第一集)防災の町 が4冊もヒットしたのに、それ以外は出てこなかったので、第二集は刊行されていないようです。

 とはいえ、このような町誌というか地誌といえば、それこそ地理で学習するような、地形や気候、産業、政治経済など人文・自然といろいろなジャンルが語られるのですが、この田老町誌は、「やっぱり田老といえば防災だろう」ということで防災に絞って語られているわけで、あえて他のテーマをたくさん入れて防災をワンオブゼムにして凡百な町誌に仕上がるよりはずっと良いかと思います。

 防災の町・田老ですから、当然津波については詳細に書かれており、明治29年、昭和8年、十勝沖地震(昭和27年)、チリ津波、十勝沖地震(昭和43年)と大規模な津波について紹介し、また津波年表なども付けています。
 それだけではなく、津波についてかなり専門的な解説も載っています。

 その一方で、津波にまつわる美談や子供の文集、学校日誌の記録なども掲載され、もはや単なる町誌という立場を超え、津波について多面的にとらえた一冊となっております。

 ところで、防災をテーマにしているものの、田老といえば津波、津波といえば田老というぐらいですから、津波以外の災害はあったのでしょうか。気になりますね。ここでは火災と風水害がとりあげられていて、特に火災ではフェーン現象による大火について、被害状況からフェーン現象の専門的な説明まで丁寧に掲載されています。

 防災マニアなら読んでおきたい一冊ですが、非売品ということもあり、なかなか実物は入手しにくいかもしれません。でも、あきらめたらそこで試合終了ですよ…?国会図書館のデジタルコレクションから、普通に読めちゃったりするのです。

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