このたび、島津理化器械のOHP用ばねはかり BJ-5型が本校の理科倉庫から発見されました。
OHP用教材
OHP用のばねばかりとはどんなものでしょうか。ちょっと想像してみてください。
おそらくは1970年代から80年代あたりでしょうか、OHPが普及するにつれて、OHPを使った理科教材も開発されました。
教師が手元でやる実験を生徒に見せたい。ところが大きい教室に何十人もの生徒がいるところでは、特に床においてやる実験はとても見せられない。生徒から見えない演示実験はもはや意味がありませんから、拡大して映せるOHPの特性を利用しようという発想はあってしかるべきかもしれません。
とはいえ、OHPでは双眼実体じゃない光学顕微鏡と同じく、透過光を使っているので不透明なものでは適しません。OHP用の実験器具は、透明なプラスチックなどを用い、工夫を凝らして作られた教材が多いです。
OHP用ばねはかり BJ-5型
では、OHP用ばねはかり BJ-5型は、どのような形状なのでしょうか。箱を開けてみました。
えっ…?これがばねはかり? 丸いものが3個入っているので、一つ取り出してみましょう。
ばねはかりって、細長いものじゃないの?ばねはどこにあるの?
裏側に蓋があるのですが、3個あるうち一つはその蓋がなくて
ばねはばねでも…ゼンマイばね(渦巻ばね)!
掃除機のコードが自動で巻き取れるのもこれを使っていますね。
引っ張ってみましょう。動画でご覧くださいな。
力がかかっていない時(左)と最大に力がかかっているとき(右)ばねが中央へどれだけ寄っているかが違っています。
それにしても、どうしてこんなばねを使っているのでしょうか。
解説しよう。生徒に見せたいものはばねはかりではなく、ばねはかりをつかった実験(測定)のようすである。一方、OHPのステージの大きさは、一辺30~40cmの正方形ですから、そこに実験の全体像をみせるためには、ばねはかりそのものをあまり大きくすることも難しい。そこで直径5cm程度の小型のばねはかりにするためには、ぜんまいばねを使ったというわけだ。(と解釈しました)
そしてひもが巻き付いていますね。
さて、このひもにおもりをひっかけて使ってみた。こうやってつかうんですね。
もっとも、OHP用だったらつるすというよりはOHPの投影台の上において水平方向に引っ張る力を測るためのものかな。で、針の赤い部分がすっ飛んでしまった例。
時代を推定する
ところで、この教材はいつごろのものでしょうか。
島津理化器械株式会社は1969(昭和44)年に設立、2006(平18)年に株式会社島津理化に社名変更したのでその間の時代のものです…って40年近くもあって広すぎるな。
シールにある「社団法人日本理科教育振興協会」は1972(昭和47)年5月から「公益法人(社団法人)」として認可され、2013年4月より、公益社団法人になったので、この間の期間でもあるはずです。
私がこの学校に着任した2000年以降に購入したなら私自身がこれを見たことがあるはずですし、そもそもそのころにはパワーポイントも登場し、OHPはなくなってはいないものの、かなり下火になっていました。
この2つを合わせても1972(昭和47)年から2000(平12)年とかいってまだ30年近くも幅があってしぼりきれません。
ここまで書いて、ふと気づいたのですが、そもそも平成生まれの若い方々は、もはやOHP自体を知らないのではないか。OHPについてはまた記事にしないといけませんね。
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