0153 万両、千両、百両、十両、一両

あけましておめでとうございます。
おめでたい元旦に更新する記事ですので、正月の縁起物でもある、赤い実のなる小低木をとりあげます。ちょうど年末に都立小山内裏公園で勢ぞろいしていたのを見たので。
こいつぁ春から縁起がいいわぇ!

マンリョウ

Ardisia crenata サクラソウ科ヤブコウジ属(新エングラー体系、クロンキスト体系では、ヤブコウジ科)
別名:アカギ
 赤い実が葉の付け根から伸びた小枝の先に下向きに垂れ下がっています。 サクランボみたいですが、サクランボはこんなに一か所からでてないか。シロミノマンリョウってのもありましたね。
 日本では縁起物になっていますが、アメリカ国内でもマンリョウが生息するフロリダでは自生する日陰を好む植物の生育を妨げるということで、有害雑草認定となんとやべーやつ扱い(フロリダ大学フロリダ大学その2Flolida Natural Areas InventoryISB: Atlas of Florida Plants)されています。そうすると日本でも実は他の植物を蹴散らして生物多様性を阻害しながらも、赤いかわいい実に騙されて縁起がいいといわれて人間には歓迎されている疑惑が…。

センリョウ

 Sarcandra glabra センリョウセンリョウ
別名:クササンゴ(草珊瑚)
 

 葉について。葉は左右対称についていて、次の葉のペアとは90度ずつねじれている十字対生ってやつです。アジサイでも見られますね。葉身は 長さ 6~15cm、幅 3~6cm の長楕円形で、革のような硬さで、表側は光沢があり、葉の縁には尖った粗い鋸歯きょしがみられます。

 マンリョウに比べて実の数が少ないのでセンリョウにとどまっています…、
 マンリョウでは、実がサクランボのようにぶら下がっているのに対し、センリョウの実は枝先に上を向いて固まってつけています。赤い実も、マンリョウに比べるとちょっと黄色みがかった感じがします。


ヒャクリョウ

カラタチバナ 唐橘  Ardisia crispa サクラソウ科ヤブコウジ属
 赤い実のほか、キミノカラタチバナ、シロミノカラタチバナもあり、また葉がねじれたり、巻いたり、斑が入ったりするなど、園芸品種も多くあります。とくに、江戸時代に多くの園芸品種がつくられ、レア物はそれこそ「百両金」の値段が付いたとか。明治時代でも100品種以上あったと言われますが、その後見られなくなった品種も少なくないようです。


 ヒャクリョウはマンリョウ同じサクラソウ科ヤブコウジ属です。では、両者の違いはどこにあるのでしょうか。
 ①マンリョウは枝を出すが、ヒャクリョウは枝を出さない。
 ②ヒャクリョウの方が寒さに弱く(特に変わり種の品種はなおのこと弱いものが多い)、成長も遅い。それゆえに、個体数もフロリダで外来種扱いされて忌み嫌われているマンリョウに比べて少ない。
 ③マンリョウと比べて実の数は少ないけど、1個の実はマンリョウより大きい。
というような特徴の違いがあります。

ジュウリョウ

ヤブコウジ(薮柑子) Ardisia japonica サクラソウ科ヤブコウジ属}
 フカミグサともいわれることがありますが、フカミグサといえばボタンPaeonia suffruticosa Andrewsを指すことも多いですので注意が必要です。
葉が蜜柑(ミカン)=柑子(こうじ)の葉と似ていることからヤブコウジなんて名前が付きました。
ヒャクリョウほど樹高が高くならず、かつヒャクリョウよりも寒さにも強いです。

イチリョウ

アリドオシ 蟻通し  Damnacanthus indicus アカネ科アリドオシ属

 枝には1~2cmの、鋭い棘があるのが特徴。メインの枝も二股になります。
 「アリドオシ」の由来はこのトゲがアリをも刺し通す、枝が横に広がるので、その下をアリしか通れない、実が年を越えて翌年まで有り通す、など諸説あります。
 センリョウ、マンリョウと一緒に植えて「千両、万両、有り通し(大金がずっとある)」

実はこのほか、オクリョウ(ミヤマジキミ)Skimmia japonica ミカン科 ミヤマシキミ属という植物もあるのですが、ここにはなかった…残念!

植物

Posted by rikaniga