1538 すべては子どもたちのために

すべては子どもたちのために

この業界にいると、たまーに見かける言葉です。「私の理念として」「本校の目標として」紹介されたり、メールの末尾に署名やメールアドレスとともにこの言葉を書かれていたりすることもあります。見かけるたびに何かすごいなーと圧倒される言葉です。

申し訳ないけれど自分にはとてもできません。そんなコミットメントは。

だってこれは、「子どもたちのためにすべて」なげうって努力する、本気で「すべてを子どもたちのために」捧げると社会に対して約束しているわけです。万一、守らなければ「嘘つき!」「金返せ!(払ってないけど)」「教師(あるいはその人の仕事)やめろ!」くらいのご批判を甘受することは当然のこと、クビだって差し出します!という覚悟があって、はじめて可能になる宣言ですから。

すべてですから、24時間365日、全財産かけてやるわけです。滅私奉公ならぬ滅私奉子って感じですね。勤務時間やサービス残業がどうのとか、給料が安いとかは、どんな状況でも文句言わないわけです。「すべては子どもたちのため」で、「自分のため」は全く考慮しないわけですから。

いやぁ、一日の半分以上学校にいるくらいで文句タラタラ、10%くらいのボーナスカットで文句タラタラ言っている修行不足の自分にはとてもマネできません。せいぜい「まず第一に子どもたちのために」くらいがいいところです。で、せめて健康で文化的な最低限度の生活を…と「ちょっとくらいは自分のために」も考えてしまう不届者です。

いやぁすばらしい。すべては子どもたちのためにと考える、実行する心意気。ついつい保護者や地域、社会全体、そして自分自身など、子どもたち以外の教育のステークホルダーの存在も考えてしまう自分は、えぇ、心からそう思いますとも。
ぜひ宣言されている方とお会いして、その方の日々の行動を拝見させていただきたいと思っています。お会いした際には、どうぞよろしくお願いします。

 2013年に国家公務員の退職金が下がることになって、つられて公立校の教員などの地方公務員も退職金が下がることになりました。1月に辞めるとギリセーフで退職金が下がらないのですが、3月で辞めると退職金が減ってしまうということだけでなく、その減額分はは2月3月の2か月分の給与より大きいので、3月までいるよりも1月で辞めた方がもらえるお金が多いというマイナス給与になったんだそうです。そうなると、当然、退職手当引き下げられる直前の1月末で「駆け込み退職」する先生が出てきます。そうすると年度末の2月3月に学校が人手不足となって混乱するわけですから1月で辞める先生は周りからのひんしゅくを覚悟せねばなりません。実際、当時の埼玉県知事や文科大臣がブチ切れるという事案がありました。当時は「働き方改革」もなければ「やりがい搾取」なんて言葉もなかったし(それが当たり前だったから)、学校がブラックな職場だと広まっていなかった時代ですから、「お前ら聖職者である教師なんだから2か月マイナスで働けよ」って意見が平気でまかり通ってたんですね。その前に残業代出せよ。

で、2013年の3月で定年だった「すべては子どもたちのために」と言っていた先生は当然子供たちのために3月まで勤務されるのだろうと思っていたら、駆け込み退職し、結果的に学校を人手不足による混乱に陥れたそうです。これもきっと子どもたちのためなのでしょうね。 ┐('~`;)┌ 

たわごと

Posted by rikaniga