1891【理科教育法Ⅰ】第2回の復習・発展学習のご案内

※ネタバレがあるので授業後に読んでください

 前回は学習指導要領の変遷や現行の学習指導要領について見ていきましたが、今回は現状の課題と、次期学習指導要領がどのような方向に進もうとしているかを見ていきました。
 しかし前回から行政的な話が続いていて、「つまらない、もっと理科っぽい話が聞きたい!」とそろそろ思うんじゃないかということで、えらぶたの話を投げ込んでみました。さて…

アンケート:理科を教えるにあたって、どのような点が不安ですか。

 アンケートについては、これだけで長くなるのでこちらをお読みください。

理科教育の現状と課題

 理科教育の現状と課題。これについては多岐にわたりますし、理科離れなんて典型的な例ですが、主観的な印象論もあったりしてなかなかデータに基づいて「これが現状だ」と断定的に言うのは難しいところがあります。
 なので、今回も文科の資料に頼りました。
 初めに、今の教室にどんな生徒がいるのかということで、教育課程部会 教育課程企画特別部会(第12回)配付資料である【資料1】教育課程企画特別部会 論点整理(素案)の28ページを用いて、その一部を隠して、そこには何が書いてあったか考えてもらいました。現場で教えている私でも難しいと思ったくらいですから、受講生の皆さんにとっては、予想もつかない正解もあったのではないでしょうか。


 で、こうして指導要領全体をどうするかがわかって、それをもとに理科ではどうするかを教育課程部会 理科ワーキンググループで検討するわけですが、その第1回で使われた資料が2026-2dです。
 いずれも現状と課題が書かれ、さらにそれをもとにどういうところを議論していくか(つまり、次期学習指導要領をどう変えていくかを見るのに良い資料というわけです。

【平成29年度告示の指導要領が「新指導要領」だったときの解説】
 なので、今回はPISAやTIMSSなどの国際調査や中教審答申など、学習指導要領に影響を与えるデータを基に説明しました。
 理科(理数)に特化した話ではないので講義では触れませんでしたが、他にも、日本人の海外留学者が減少傾向にあって、グローバル人材の育成が課題になっていることや、少子高齢化で社会全体の活力が低下していることなどの社会情勢や、子供(高校生ぐらい)の自己肯定感が低いことや大学生の主体的な学びが少ないといわれていることなども、理科教育を含めた教育全般の方針に影響を与える要素になります。

講義で使った資料の出どころです。
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)の調査結果
国際数学・理科教育動向調査(TIMSS)の調査結果
TALIS(OECD国際教員指導環境調査)
幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)(中教審第197号)

「課題」に課題あり

そしてこちらの問題。

 例年、苦戦する問題です。過去何年かやっていますがストレートに正解を出せた人はいません。
相当ヒントを出して「目的?」と気づく人が出始めるのがやっとというところです。
 だってたしかに考察の内容は結果から言えることなので、あとは「3匹では足りない、データをもっと増やせ」のような方法にケチをつける方に目が行ってしまいがちです。そうなると「正解」から離れていくという鬼畜仕様です。

この問題は、平成27年度の全国学力調査の中学校理科8(3) をもとに、意地悪く改変したものです。元の問題では、方法の前にちゃんと「ほかの種類の魚でも,えらぶたの開閉回数は,水温が高くなると増えるのだろうか。」という課題が提示されたうえで「魚の種類によって…」の部分を直せという、だいぶ解きやすい問題になっていましたが、それでも正答率は48.1%と半数に届かず、報告書には「課題がある」と指摘されています。

そんな意地悪な問題ではありますが、「ちょっと待って、課題は?」とすぐに突っ込める理科の先生になってほしいなと思っています。課題あっての観察、実験や考察なのですから。

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で、同じ平成27年度の全国学力調査の中学校理科7(2)ではキウイフルーツがゼリーを溶かす現象をもとに、課題を書く問題がありました。

ということで27年度の全国学力調査は「課題」について、一般の問題集や入試問題では見られない、なかなか攻めた問題で、「課題を意識しろ!」という文科省の強いメッセージを感じました。が、令和7年の現在まで入試問題や市販の問題集などに課題を前面に出した問題が出されることは、ほぼなかったと言っていいでしょう。採点が面倒ということもでかいですし、課題としての形式を整えていれば、ほぼ何を書いても正解になってしまいそうで(微妙に感じるものもバツにできない)、点数をつけるような問題には向かない感じがします。

 ならば授業でやればよいのですが、これまた入試問題や市販の問題集などに載っていないので、あらためて課題を意識した授業というのもほとんどやられていないのが現実で、だからこの問題の正解に気づけなかったわけです。

 なお、次期指導要領では文言を統一するという噂もありますが、中学・高校では「課題」にあたるものを、小学校では「問題」と言っています。これに関しては小学校は解決することを児童が考えるのに対し、中学校では教師が「今日はこれをやるぞ」と与えるからだ、という誤解がはびこっていますが、そういうわけじゃないんだな…。

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