「理科教育法Ⅰ」で話しきれなかった部分、学習を深化させるための話題、講義で使った資料の出典先の資料、個人的な経験談や考え(雑談を含む)など、こちらにまとめていきます。
サクッと単位だけを取るなら不要ですし、興味のあるところだけ読み進めても構いません。
理科教育法の第1回は「学校の」理科教育における枠組みである学習指導要領の過去と現在をみてきました。
昭和22年の試案から現行版までの学習指導要領がどのように変わっていったか、それぞれの改訂のポイント(キーワード)をおさえておきましょう。そのような「過去」を知ったうえで、「現在」の学習指導要領を見てみました。
来週の講義で「未来」、すなわち次期学習指導要領によるこれからの理科教育が見えてくるでしょう。
投票「あなたはなぜ、理科の教員免許がほしいのか」
まずは簡単な授業ガイダンスの後、「なぜ、あなたは理科の教員免許をとろうとしているのですか。」というテーマでの投票結果を見てみました。
すでに気がついた人もいらっしゃると思いますが、回答をすると、リンクの紹介があります。
【理科教育法】教員免許がほしいのは?(前編)
【理科教育法】教員免許がほしいのは?(後編)
こちらは、何年か理科教育法Ⅰの講義で皆さんから聞いてみたときの回答をまとめて類型化したものです。そして今回の「投票」の選択肢でもありましたね。僭越ながらそれぞれの理由の方にアドバイスをさせていただきました。ご参考まで。
「学習指導要領(主に中学校理科)のその変遷」
学習指導要領は学校がカリキュラムを編成する基準です。
最高裁お墨付きの法的拘束力があり、すべての学校に適用されますが、実際の運用状況では、公立学校に対する影響力が強い一方で、私立学校に対する影響はそれほど強くないです(中高一貫の進学校なんかは、中学校3年分の授業を2年で終わらせて、高2で高校のカリキュラムを終わらせて高3で大学入試に向けての演習ばっかやったりするところがありますよね)。ただ、受験に関係ない科目をないがしろにすると、未履修問題が表面化するとマスコミ沙汰になって炎上することもたまにあります。
学習指導要領があるおかげで、我が国の教育が世界でトップレベルの水準を確保し、そのことが国際的に高く評価されてきているという肯定的な見方もある一方で、国の基準ともいえる学習指導要領が変転を重ねるたびに、教育の現場である学校をかき回し混乱させた、という否定的な考え方もあります。いずれにせよ、戦後教育において学習指導要領が果たした役割と影響は大きいといえるでしょう。
学習指導要領は、学校をめぐるさまざまな事件、受験戦争の激化、不登校、校内暴力、学力低下問題、さらには、社会情勢や国際調査で明らかになる日本の子どもの実態などに応じて変化してきています。中学校では昭和22年に試案が出され、その後昭和26年、33年、44年、52年、平成元年、10年、(15年)、20年と改訂され、平成29年に改訂されたものが、令和3年から本格実施されるたのが現行版です。
授業ではさらっと流しましたが、より深くマニアックに学びたい人はこちらをどうぞ。
序 学習指導要領とは
(1) 昭和22年試案
(2) 昭和26年試案
(3) 昭和33年改訂
(4) 昭和44年改訂
(5) 昭和52年改訂
(6) 平成元年改訂
(7) 平成10年改訂
(8) 平成15年一部改訂
(9) 平成20年改訂
現行の学習指導要領
現行の学習指導要領の概要
現行の学習指導要領(平成29年告示)についてみていきました。全教科共通の部分はきっと教職課程の他科目でも学習するでしょうから、理科教育法の授業では軽くしか扱いませんでしたが、前回学習した現行の学習指導要領からどう変わったのかをおさえておききましょう。
ちなみに、平成31年=令和元年、平成32年=令和2年 … です。
学習指導要領の全体像については文部科学省からたくさん出ていますからそちらをご覧ください。
平成29・30年改訂学習指導要領のくわしい内容
平成29年度 小・中学校新教育課程説明会(中央説明会)における文部科学省説明資料 1/2 2/2
※今回の1bの資料はこの資料(1/2)の抜粋です。
平成30年度高等学校新教育課程説明会(中央説明会)における文部科学省説明資料 1/3 2/3 3/3
理科についてはこちら。
中学校学習指導要領 理科の改訂のポイント
※今回の1cの資料はこの資料そのままです。 教科調査官の先生による解説動画もあります。
藤枝 秀樹:新学習指導要領における理科教育を考える,生物教育,59(2) ,97-98,2018
平成30年改訂の高等学校学習指導要領に関するQ&A(理科に関すること)
理科教育の目的・目標
理科教育の目的・目標については根っこは一緒なのでしょうが、細かいところを挙げていくと人によって、組織によって違うところが出てくるのは当然のことです。
例えば学習指導要領の目標は学校で理科の授業をするにあたっての大まかな目標・目的となりますが、例えば塾や予備校によっては、テストに出るような問題が解けるようになる、点数が取れるようになる、志望校に合格するというのが現実的かもしれませんし、博物館のサイエンスショーなんかは、来た人に楽しんでいただくというところにウエイトがおかれている場合もあるでしょう。もちろんそれが悪いわけでありません。みんなちがって、みんないい。
だけど「学校で理科教育を行う」場合は、法的拘束力のある学習指導要領の目標を念頭におく必要があり、そこから大幅に外れることはできない、というような話は、組織にいる以上、基本的にその組織の方針とかルールを守る必要がある、ということだから学校に限った話ではないですよね。
なので、指導要領上の目標をおさえておきたい。できれば解説も読んでおきたいですね。
中学校学習指導要領 第2章 第4節 理科
第1 目 標
自然の事物・現象に関わり,理科の見方・考え方を働かせ,見通しをもって観察,実験を行うことなどを通して,自然の事物・現象を科学的に探究するために必要な資質・能力を次のとおり育成することを目指す。
(1)自然の事物・現象についての理解を深め,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
(2)観察,実験などを行い,科学的に探究する力を養う。
(3)自然の事物・現象に進んで関わり,科学的に探究しようとする態度を養う。
ちなみに(1)(2)(3)という形式は今回が初です。過去の指導要領ではどんな理科の目標だったかチェックしておくのも面白いかと思います。
さて、そのような組織人としてその組織の目標達成にに貢献することが自分に求められているということをおさえたうえで、自分にとっての理科教育の目標が何であるか、それが学校の教師に求められる目的・目標とのギャップがあればそれは受忍限度の範囲内か、渡り合っていけそうか、そこはSTL(Sustainable Teacher Life ; 持続可能な教師生活*) のために、学校の教師になる前に考えておきたいところです。これは就職活動の一環で企業研究して、その会社が自分と合うか合わないかを考えるのと同じです。それを端折ると、かえって教員として採用され就職したことが地獄の一丁目となってしまうかもしれません。
余談ですが、ある先生(私ではありません)は採用の時に誓約書に署名しながら「これで悪魔に魂を売ったな」と感じたそうです。
*STLは別に覚えなくていいです。教採にも出ません。私の造語ですから。
教育(一般)の目的・目標については、以下の条文をチェックしておきましょう。
教育基本法1条(教育の目的)
教育基本法2条(教育の目標)
教育基本法5条2項(義務教育の目的)
学校教育法21条(普通教育の目標)


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