「身近な物理現象」カテゴリに入れていますが、完全な範囲外です。
虹などの空の色の話をしていくと、質問されることが多いのが青空と夕焼けです。
青空も夕焼けも、光の散乱という現象が関係しています。すると、「光の散乱って何?」ということになりますね。
この前も見ましたが、次の画像をもう一度見てください。
この、赤い光はどのように進んでいるでしょうか。ちなみにちょっと見えにくいですが、水槽の左側からレーザーポインターで照らしています。
石鹸水の中を左から右に進んでいますが…赤い光の進み方は、本当にそれだけでしょうか?
もしそれだけなら、赤い光は見えませんよ?
なぜだかわかりますか。
水槽の外側にあります見ている私たちの目(もしくはカメラ)に赤い光が見えるということは、そこにこの赤い光が届いているということ。でも、もし、光が石鹸水の中をつきすすんでいるだけだったら、光はそんなところに行っていないので、水槽の外側からは見えないはずです。実際、石鹸水ではなくただの水や食塩水の場合は、この赤い光は見えないのです。
石鹸水の中は、石鹸の小さな(とはいえ、水に溶けている食塩や砂糖に比べれば超巨大)粒がうようよしていています。それに光がぶつかると、光は四方八方へ散らばってしまいます。これが光の散乱です。もちろん、石鹸の粒じゃなくても光の散乱は起こります。
石鹸水ではその、散らばった光が目に届いて、直進している様子が見えるのです。
カンのいい人は、「光が散乱するとどんどん光は弱まっていくんじゃないの?」と気づいたかもしれません。実際に、石鹸水を通る赤い光の写真は、光源のある左側は明るいですが、右側に行くにつ入れてだんだん弱くなっていきますね。光が散乱した分、少しずつ光が弱くなり、最後は無くなっていくのです。
さて、青空と夕焼けの観測者と太陽の位置関係ですが、青空は観測者の真上に近い位置、夕日は太陽高度が低い位置にあります。すると青空の方は太陽の光が通過する空気層の長さは比較的短く、夕焼けの方は太陽光が通過する空気層は長くなります。
先ほどあったように最初に青が散乱しますから、空気層を通過する長さが短い昼間は青色の散乱光が目立ち、青空となるのです。
一方、空気層を通過する長さが長い夕方は青色が完全に散乱して、観測者の位置では青色光がなくなってしまったので、残った赤色ということになるのです。
この現象は、簡単なモデル実験で確かめることができます。
傘袋に石鹸水(よく牛乳や床用ワックスを水で薄めて使うことが多いですが、コロイドをつくればいいので石鹸水で十分です。むしろ床用ワックスなんて一般のご家庭に普通ないだろう…)を入れて口をしっかり閉じたものに、暗い部屋で片側から白い光を当ててみます。
右側から白色光を当てています。
左側はオレンジ色っぽくなっています。これが夕焼けです。
右側は青色っぽくなっています。これが青空です。
この実験で水とせっけんは、実際の地球上では、それぞれ空気、空気中のちりに対応しています。
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