名古屋市科学館に「こだまパイプ」という体験できる展示物があります。
手を叩くなど音を立てると、音がこだまとなって反射してきますが、2つのパイプでは最初の音からこだまが戻ってくるまでの時間が微妙に違います。
解説によると、2本のパイプは材質などは同じですが、左側のパイプは17m、右側のパイプは34mと長さだけ違うのだそうです。
そうすると音は一定の速さで伝わるので、距離が長い分だけ音が帰ってくる時間がかかるのです。
空気中で音が伝わる速さは1秒間に約340mとされています。もう少し詳しく言うと、気温によって微妙に差があり、温度t(℃)で 音速v(m/秒)は
v=331.5+0.6t
で表されるのは数学でやりましたね。
さて、1秒間に340mということは、1時間だと1224kmと計算されます。時速1200km以上。飛行機なみの速さです。
とんでもなく早いようですが、上には上がいます。そう、光です。光の速さは1秒間に30万km進みます。地球1周が4万キロですから、7周半という計算になります。
これに関連した話題として、「雷がぴかっと光ってからゴロゴロと音がするまでの秒数に340をかけると雷までの距離(m)がわかる」という話があります。どういうことでしょうか。
雷の音が聞こえる範囲と言えばせいぜい数kmですから、おまけして10km離れている場所を考えても、光が届くのにかかる時間は10km÷秒速30万km=3万分の1秒となります。でも、3万分の1秒なんてどんな精密なストップウオッチだって測ることはできません。それくらいスイッチを押す時間の誤差でいくらでも誤差となりますよね。なので、雷の音が届くレベルの距離では、光が雷から観測者に届くまでの時間は0とみなせるわけです。
でも、音はそうはいきません、1秒間では340mしかしすみません。
音速340mに光が見えてから(=雷が発生してから)聞こえるまでの秒数をかければ、その距離だけ音が移動したことになります。どこからどこまで?雷から観測者まで。
ただし、「10秒かかったから3.4kmも離れているから安全だな」と思ってはいけません。雷をもたらす積乱雲の大きさは数kmから十km以上のものまでありますので、3.4km離れた場所で落雷があったとしても、実はその積乱雲は頭上にもあり、遠くの雷が鳴った次の瞬間に自分の頭上に落雷する可能性だって十分あるのです。
音速を利用して距離などを計算で求める例としては、やまびこもあります。
今度は音は観測者と山の間を往復したので、ヤッホーと叫んでからやまびこが聞こえるまでの秒数に340mをかけると往復の距離になってしまいます。そのため、さらに2で割る必要があります。
音が片道だけ進む「雷」タイプ、往復で進む「やまびこ」タイプ、状況を図示してどちらのタイプなのか見極めましょう。
ちなみに上の2つの図はパワポでつくったもので、下からダウンロードできます。改変して使いたい人などはどうぞ。
さて問題。
雪がどれだけ積もったかを調べる積雪深計も。上部の円錐のかたちをしたところから超音波を出して、どれだけ雪が積もったか調べる装置なのですが、超音波(音と同じと考えていいです)をどのように使って調べているのでしょう?
ちなみにこの積雪深計の表示部のふたを開けるとこうなっています。(問題とは関係ありません)
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