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1872 ニュースとつながる理科のツボ 2012/07

電力融通→直流と交流 (2012/7/1)

今日の「理科のツボ」で取り上げたニュースは、電力融通。ある電力会社の管内で電力不足になった時、ほかの電力会社から融通してもらうというわけですが、東日本と西日本では周波数が異なるため、そのままではやり取りができない、という話を理解するために、電流単元の「直流と交流」について学習する、という記事です。

直流と交流については、新指導要領(注・平成20年告示の学習指導要領のこと)で加わったところで、入試問題で出ていないようです。担当の方から今年の理科の全国高校入試問題がまとまっている本を送っていただいたので調べてみたのですが、イオンや月の満ち欠けはあっても、直流と交流の問題が全くないのです。ヘンなの。実験がらみの問題もあってもよさそうなのに。

家庭のコンセントが交流の理由の一つとして、直流モータに比べ交流モータはメンテナンス面で有利という点があります。中学理科の教科書で紹介されているモーターは乾電池からのモーター、すなわち直流モーターです。それには電流の流れる向きを強制的に切り替えるため、回転子とブラシが必要でした。ところが、これは接触しながら回っているために、ずっと使っていると摩耗することが予想されます。ところが交流では電流の向きがほっておいても変わるため、整流子とブラシがいらない。そのためメンテナンスが容易になるのです。

それと初めて知ったのが、東日本は50Hzでも、佐渡島は60Hzなんですね。東海道新幹線が全線60Hzというのは知っていたのですが…、まだまだ、勉強することは多いです。。。
このあたりの詳しい話は、「授業をもっと面白くする!中学校理科の雑談ネタ40」の中のネタ「東海道新幹線は東日本の電力では走れない?!」で解説しています。

授業をもっと面白くする! 中学校理科の雑談ネタ40

それから、100万V送電線は東京電力の西群馬幹線や北栃木幹線と呼ばれる送電線が該当するのですが、100万Vが可能な「設計」ではあるものの、運用としてはまだ50万Vまでの運用のようです。また、27万5千ボルトの送電線も多いようです。ちなみに2006年8月14日にクレーン船が送電線に接触して首都圏に大規模な停電がありましたが、あれも27万5千ボルトの特別高圧送電線「江東線」でした。

一方、図2は日本地図上の50Hzと60Hzを色分けしましたが、最初パステルカラーどうして色分けしていたので、「もしかしてこれはカラーバリアフリーでないのではないか」ということで、ここでもまたひと調べ。

…と今回は、結構資料をいろいろ当たりました。もちろん全体の構成や概要はわかっているのですが、いまいちしっくりした文章にならず、また細かいツメに関していろいろ調べることになったのです。ふぅ。

朝日新聞
中部電力・地域と周波数
電気設備の知識と技術
電気ノート(シヨーエイ電気)
探検発見 : 電源開発 佐久間周波数変換所
電気工学を知る
クレーン船の接触に伴う当社特別高圧送電線損傷による停電事故について|TEPCOニュース|東京電力
徹底解説② 過去の大停電事故 | 誌面情報 vol31 | リスク対策.com | 新建新聞社
後藤・鈴木ら:2006年8月14日首都圏突発停電が情報システムに与えた影響の調査,土木学会地震工学論文集(2007 年 8 月)
色盲の人にもわかるバリアフリープレゼンテーション法

追記 2012/7/2
奇しくもこの記事が掲載された1日夜に関西電力が大飯原発の3号機を起動・・・

ヒッグス粒子発見!→原子  (2012/7/15)

朝日中学生ウイークリー本日(7月15日号)に掲載されている「ニュースとつながる理科のツボ」の原稿、何事もなくヒッグス粒子発見!の記事から原子の話につなげていますが、実はこうなるまで、二転三転しまくりでした。

どういうことか。時系列で追って行こうと思います。

6月22日 まず、オリンピックのメダルの話から、酸化銀の分解、酸化銅の還元の原稿を作りました。

7月15日だと、もうすぐオリンピック。なのでオリンピックネタにしたい。
過去の7回では、生化物地地生物ときているので、今回化学がくると、物化生地2回ずつということでバランスが良い。
そうすると、オリンピックのメダルを題材に金属ネタができないだろうか。
金銀銅だけど中学理科では金はほとんど出てこないので、酸化銀、酸化銅から銀や銅を取り出す話かな。
とりあえず、原稿を書いてみよう。
もし、ほかにニュースがあったら、次の8月5日号に回そう。その頃はオリンピックの真っ最中だ。

6月24日 新元素発見のニュースから原子の話をしようと、新たに原稿を作りました。

しまった。このニュースを見落としてた。
二つの新元素名が決定 114番元素は「フレロビウム」,116番元素は「リバモリウム」

5月30日にIUPAC(国際純生・応用化学連合)で114番元素がflerovium(元素記号Fl)、116番元素がlivermorium(元素記号Lv)と決定され、6月22日に日本化学会命名法専門委員会で「フレロビウム」「リバモリウム」の日本名が正式に決定した、というニュース。

このニュースをもとに、原子の話をするのもいいかも。これも化学ネタ。メダルの話は次回にしよう。生物・地学分野の学習に結び付けられるニュースは多いけど、物理・化学に結びつけるニュースはなかなかない。貴重な化学ニュースは確保しておかなくちゃ。

構成は、「原子とは」、「原子の性質」、「原子の種類と記号」、「原子の構造」と。中3の「原子の構造」まで学年をまたがって説明ができるのは、この連載のいいところ。教科書や教科書傍用問題集ではなかなかできない芸当。

#ところで、どうでもいい話。
IUPACがどうしても「ゆうパック」に聞こえてしまう。。。
郵便小包かっ!

がしかしっ!
原稿の〆切が過ぎた、7月6日、ヒッグス粒子発見の話が、連日、大きな話題になっています。

ヒッグス粒子で一本かけないか。
でも、ヒッグス粒子なんて中学校理科には直接関係がない。
とはいえ、これだけ話題になっている理科のニュースである以上、この連載でスルーするわけにはいかないじゃないですか。
しかし、7月15日号は〆切が過ぎている。イラストはイラストレーターの方に発注済のはずだし。
このニュースで原子の話をすればいいんじゃね?
原子とヒッグス粒子のような素粒子の関係って、素朴な疑問として多そうだし(実際に生徒に聞かれたし)。

で、一度新元素発見のニュースの話題で書かれたゲラ刷りが完成したにもかかわらず、ヒッグス粒子発見を元ニュースに原子の話を展開した記事にしました。

7月10日 しかし私の素粒子の知識は浅はかだったということが発覚!

素粒子について明確な定義はない・・・だと・・・?
レプトンである電子が素粒子というところは異論はない。ところが、陽子や中性子はそれぞれ3つのクオークでできているから、物質を構成する「最小」の粒子という素粒子の定義に反する、ということで陽子や中性子は素粒子ではないと原稿に書いたら、
厳密にはそうだが、陽子や中性子も素粒子として扱われることも多いという編集周りからの指摘が。
うお、確かにその通りだった~。
陽子や中性子は素粒子でない、と言い切ってもまずいし、素粒子である、と言い切るのも問題がある。
研究者でも両方の立場をとる人がいるようで、そんな大人の事情を、そもそも素粒子なんて学ばなくていい(少なくとも指導要領には載っていない)ものをどう説明すればいいんだ。

と悩んで、紙面には

陽子や中性子はいくつかの素粒子が集まってできており、物質の「最小の」単位ではありませんが、素粒子と呼ぶこともあります。

になりました。

ニュースをもとにすると、こういうハプニングがあるのも面白いところですね。

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