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0870【電流と磁界10】電磁誘導と発電4 交流を深めよう

さて、オシロスコープという機械で、横軸に時間、縦軸に電圧のグラフをとると、たとえばこんなグラフになります。

交流では、波のような形になっています。
交流の場合、1秒間にできるこの「波」の数、つまり電流の流れる向きがあっち行ってこっち行く回数を周波数といいます。単位はヘルツ(Hz)です。

家庭用のコンセントに流れる交流の周波数は、東日本では50Hz、西日本では60Hzと、地域により異なっています。これは、明治時代に東日本は50Hzのドイツ製の発電機を、西日本では60Hzのアメリカ製の発電機をそれぞれ輸入して使ったためです。

ある電力会社の管内で電力が足りなくなったときには、他の電力会社の余っている電力を使う、「電力融通」というやり方があるのですが、東日本と西日本の間での電力融通する場合、この周波数の違いが大きな問題となります。異なる周波数の電力をそのまま合わせても、かえって電気の流れを乱してしまいます。東日本で電力が足りなくなり、西日本から電力融通しようとすると、60Hzの交流→直流→50Hzの交流と、2段階に変換するので、効率が悪いのです。またそのような周波数を変換できる施設は、日本では現在3か所しかなく、それら全部を合わせても、全国の発電能力の1%未満の約100万キロワットしか変換できません。同じ日本国内でも東と西ではたくさんの電力を自由に受け渡しできないのです。

交流の特徴として、変圧器で簡単に電圧を変えられるということがあります。発電所や送電線では、たくさん送電しても電力の損失が少なくなるように、50万ボルトや100万ボルトもの高電圧になっています。ところが、家庭で使うのは100ボルトですから、途中で電圧を下げなくてはいけません。 このようなときに交流では、変電所や変圧器で徐々に電圧を下げていくことが簡単にできるます。これが家庭用の電流に交流が使われている理由の一つです。

ところが、コンセントから供給されるのは交流なのに対して、多くの家電製品はLEDのように特定方向に流れる電流、すなわち直流でないと動きません。ノートパソコンや充電器などの小型化を目指す電気製品では特に、電源コードになにか大きく膨らんだ部分がありませんか。
そこになんか表示がされていると思います。

拡大してみましょう。

100~120VのAC(交流電流)、それも50-60Hz、つまり日本の家庭用電源の電流を入力すると、直流(DC)を5V出力しますよという意味です。また、マルで囲った2つの記号は、交流、直流の記号です。上で見た、オシロスコープでのグラフと同じかたちですよね。

で、この部分の名前はACアダプター。直訳すると「交流を適合させるもの」ってことになります。そういうことだったんですね。

そういえば、前に説明したモーターは直流のモーターでした。そこでは、整流子とブラシを使って半回転するごとに電流の向きを変えていましたね。
では、交流だったらどうでしょう。勝手に電流の向きが変わってくれるのを利用した、整流子やブラシがないモーターもできるのです。

最後に一つ、ご注意を。
「直流」と「直列」を混同しないようにね!

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電気設備の知識と技術・直流と交流の違いと利点欠点
電気設備の設計技術をテーマにしたサイトですが、基本的なところを丁寧に説明しています。

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