※旧ブログで 2021-05-19 に更新された記事です。
応用地球物理学のテキストを読んで、混乱した点がありました。
正規重力加速度と標準重力加速度の話ですが、簡単に正規重力と標準重力と表記します。
疑問
疑問(混乱):正規重力と標準重力は同じものなのか。違うとしたら何が違うのか。
まず正規重力γはSomigliana の公式
で表わさせれ(導出過程は リンク先の 1.Somigliana の公式の導出 を参照)地球を回転楕円体とみなしたときの地球表面上での重力値を記述するものです。
ここでaは赤道半径、bは極半径、γeは赤道での正規重力、γp は、極での正規重力、つまりここまでは定数です。ψだけが緯度で変数です。なので、正規重力γは緯度ψの関数ということになります。
この点に争いはありません。
検証
ところが、標準重力の説明が、正規重力と同じもの(すなわち、緯度に依存する関数)を意味する説明や、明らかに別個の定数を示す説明があります。それぞれの説明を例示しておきます。
「同じもの」説
北海道大学 基礎地学 I 第 2 回 の資料pdf(リンク切れ)より
また地球楕円体上の重力加速度を標準重力あるいは正規重力と呼ぶ.
世界大百科事典「重力」より
これらの式で表される重力値はしばしば標準重力とも呼ばれてきたが,現在では正規重力と呼ぶように推奨されている。
その他、国語辞典系は正規重力と標準重力を同一視しているものがよく見られますね。ま、編纂している人たちはそっちの専門家じゃないでしょうから(決して編纂関係者をdisる意図ではありません!むしろ私にとってはリスペクトの対象です)、証拠とするにはWikipediaレベルに弱いかな…。
「違うもの」説
(2)標準重力加速度
地上における基準値として定めた重力加速度で1901年のに国際度量衡総会において9080665m/s2 と定められた。
ちなみに同指針では、正規重力については定義していませんが、「正規重力式を基にして…」「正規重力加速度値との差を…」「正規重力場の鉛直勾配」などとビシバシ使っていて、定義するまでないだろう、という雰囲気を醸し出しています。
大阪府のサイト(リンク切れ)より
標準重力加速度は、1901年に国際度量衡委員会が地球の北緯45°、9.80665 m/s2を標準重力加速度として採用し、以降はこの値が用いられています。
結論
山賀 進のWeb siteにズバッとありました。以下引用。
※ 標準重力:緯度45°の海面上での重力。国際度量衡委員会が定めた値=9.80665m/s^2。記号はg(斜体)。ただし、標準重力を正規重力の意味で使っている本もある。たとえば平凡社の地学事典。
ということで、基本は正規重力は緯度によって変わるが、標準重力は標準値9.80665m/s2という理解でいいのでしょうが、標準重力を正規重力の意味で使われる場合もある点を留意する必要があるということですね。
おまけ
測地測量の基礎事項(1)=楕円体・鉛直線偏差・ジオイド=(リンク切れ) では、「標準重力」が、楕円補正として使われる、ヘルメルト(1884)の式 γφ=978.0(1+0.00531sin2φ)をさしていたことにも触れています。ただしこの標準重力は1975年頃に変更されたとされています。
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日本測地学会 Webテキスト測地学


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