1290 数学では分数、理科では小数

問:台車が4秒間で2m動きました。この台車は何m/sですか。

答:この問題が数学の問題なら 1/2 m/s
  この問題が理科の問題なら 0.5 m/s

 これは架空の問答ですが、数学は数値を分数で扱うことが多く、理科では基本的に小数で扱います。
理科のテストなどで0.4と書くべきところを2/5と書くと、さすがに×にするのは厳しいと思いますが、指導の意味を込めて△をつけられることはよくあることです。この違いは何なんでしょうか。

これは理想を追う数学と、現実を生きる理科の違いと言えましょう。

数学では1÷3=1/3です。正確に1/3です。0.333・・とどこまでも無限に続く、理想上の数字です。書くのが面倒だから途中でやめちゃうような横着は許されません。

一方理科では現実の数値を扱います。電流計が1/3アンペアなんて表示しますか?だったら0.33Aとか330mAとかなるでしょう。「ただいまの気温は7分の142℃」なんて言いますか?20.3℃とかいうでしょう。目盛りを読むには小数の方が都合がよいですね。

小数の良いところは、大小の比較がしやすいところです。562/7と1050/13では、どちらが大きいか一瞬では判断がつきませんが、80.2857143と80.7692308なら、どちらが大きいかすぐわかりますね。

さらに、小数には分数にできない、有効数字という考え方を反映させることができます。
175cmと175.0cmはその意味がちょっと違うのです。
175cmは174cmの次、176cmの手前です。つまり、175cmは174.5cm以上175.5cm未満をさしています。
ところが175.0cmはその一つ手前は174.9cm、その次は175.1cmです。つまり、175.0cmは174.95cm以上175.05cm未満をさしています。つまり0が一つ増えるだけで、その示す範囲が1/10に狭まる、それだけ正確になるのです。

もっとも、数学=分数では、誤差なく正確なのが前提ですが。。。

理想の数学と現実の理科。分数と小数の違いには、こんな事情があるのです(たぶん)。

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