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0618【誤解のポイント】動脈に流れるのは動脈血か

血液の循環に関するお話です。

【誤解のポイント】
「動脈血って、動脈に流れる血液で、静脈血は静脈に流れる血液でしょ」


はい、これ、ネーミングがすごく悪い。

でも英語でも
動脈 artery    動脈血 arterial blood
静脈 vein    静脈血 venous blood
と、「動脈血=動脈の血」「「静脈血=静脈の血」みたいな意味になっている。

動脈/静脈動脈血/静脈血は用語としては似ているものの、あくまでも別個のものとしてとらえましょう。

動脈/静脈の区別は、心臓からみて往路が動脈、復路が静脈です。
 動脈心臓から出ていく(心臓→全身や肺などの目的地)血管です。
 静脈心臓へ向かう(全身や肺などの目的地→心臓)血管です。

これに対して、動脈血/静脈血の区別は血液中の酸素が多く含まれるか否かですが、それが血液の循環経路のどこに該当するかは、心臓ではなくて肺からみて往路が動脈血、復路が静脈血となるのです。
というのも、動脈血は酸素を多く含む血液ですが、それは肺から出ていく血液で、肺から心臓を経て酸素などを届ける「目的地」までの血管にあります。
そして、静脈血は酸素が少ない血液ですが、それは「目的地」から心臓経由で肺へ向かう血液です。

血液の循環経路を大雑把にみると
心臓→全身→心臓→肺→心臓 ですから
心臓から動脈は 心臓→全身 と 心臓→肺 の範囲
心臓へ静脈は 全身→心臓 と 肺→心臓 の範囲
肺から動脈血は 肺→心臓→全身 の範囲で
肺へ向かう静脈血は 全身→心臓→肺 の範囲

すると
心臓→全身 は動脈で動脈血 これは大動脈です。
全身→心臓 は静脈で静脈血 これは大静脈です。ここまではいい。
心臓→肺 は 動脈で静脈血 これは肺動脈
肺→心臓 は 静脈で動脈血 これが肺静脈です。

心臓と肺の間では、動脈なのに静脈血、静脈なのに動脈血という逆転現象が起こるのです。

【理解のポイント】
動脈・静脈は心臓からみて往・復どちらかで決まる。
動脈血・静脈血は肺から
て往・復どちらかで決まる。
なので、動脈だから動脈血、静脈だから静脈血とは限らない。

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