0548【生物と細胞3】顕微鏡の操作(後編)

2023年6月21日

顕微鏡の見え方

 たしかに文字が普通の向きになるようにステージに置いたはずなのに、観察してみると、逆さになって見えます。顕微鏡で見えたものは、上下左右が逆になって見えるのです。

これは、顕微鏡のレンズのしくみによるものです。
次の画像は、顕微鏡のしくみを簡単に示したものです。実際の顕微鏡の接眼レンズや対物レンズは像がひずまないよう、たくさんのレンズを使っていますが、本質的にはこの図で示されています。

物体(上の図の赤い矢印)は、まず、対物レンズで倒立虚像(青い矢印)を作って拡大します。その像を接眼レンズでさらに拡大するのですが、その時は、正立虚像(黒い破線の矢印)をつくります。したがって、顕微鏡で見える像は倒立したままなのです。

さて、上下左右が逆になるということは、どういうことか。
こんな感じで見えていて、下の方にあるやつを拡大したい

つまりこういうふうにしたいときは、この部分をまんなかにもってこなければなりません。

そのときは、普通に考えると上に持っていけばいいのですが、実際は上下左右が逆に映っているので、プレパラートを下に動かさなくてはならないのです。

低倍率と高倍率

オオカナダモの葉。左が低倍率(150倍)、右が高倍率(600倍)で見たものです。

高倍率になると、視野(顕微鏡の円)の大きさは同じですが、見える範囲は狭く、明るさは暗くなります。
暗いと見にくいですし、見える範囲が狭いと、いきなりドアップでどこを観察しているのかわからなくなります。
だから最初は低い倍率で全体像をつかんでから、特に細かく見たいところをさらに拡大する、というやり方が良いのですね。

接眼レンズと対物レンズ

・倍率=接眼レンズの倍率×対物レンズの倍率

・接眼レンズ・対物レンズを取り付けるとき、取り外すとき、どちらを先にするか。
⇒取り付けるときは接眼レンズが先、取り外すときは対物レンズが先。
 ここで避けたいのは接眼レンズがついてない状態。このとき、鏡筒に埃が入りやすくなる。埃が入ると見えにくくなるし、かといって掃除も難しい。なので、接眼レンズはなるべく外したくない。
 かくして、取り付けるときは接眼→対物、取り外すときは対物→接眼と、接・対・対・接の順番になります。
「接待は大切」と覚えましょう。

・接眼レンズの長さは倍率が大きいほうが短い。(左から5倍、7倍、15倍)

・対物レンズの長さは、倍率が大きいほうが長い。(左から4倍、10倍、40倍)

・高倍率になるとプレパラートと対物レンズの距離が狭くなるところでピントが合う。