心臓の右心室からでた血液は、肺に行き、左心室から出た血液は、全身に行く、ということは前回学習しました。そのあと、どこへ行くのか、また心臓の右心房、左心房に入ってきた血液はどこを回ってきたのか。血液の通る経路はどうなっているのでしょうか。
課題:血液はどのような経路を通るのだろうか。
右心室から出た血液は、肺に行く、ということは前回学習しました。肺を通った後、どこへ行けばいいのでしょうか。神様になったつもりで血液のルートを考えましょう。
肺で得られた酸素を必要なところへ運ぶから…全身?それも一つのアイデアです。
実際、魚類は心臓(心房⇒心室)⇒肺⇒全身⇒心臓 というルートで回ります。なので魚類は1心房1心室です。
でも、ヒト(鳥類・ほ乳類)ちょっと違います。2心房2心室なのです。1心房1心室よりは複雑ですが、血液が1周する間に2回心臓のポンプの力をもらえるという、ありがたいシステムです。
右心室から肺に行って酸素いっぱいになった血液は、あわてて全身に行かなくても、左心室から全身につながってます。ということは、肺の後にどこにつなげばいいのかは……
そう、心臓に行ってもう一度ポンプの力をもらうのです。それも今度は血液が全身に行けるように右心房ではなく左心房につなげばいいんです。
そして全身に行った後は…もうおわかりですね。左心房は使われているから…
かくして、基本的な血液の循環ルートが完成したのです。
次に、これらの血管の名前をつけましょう。まずは動脈か静脈かに分類してみます。前回学習しましたが、心臓から送り出される血液の通る血管が動脈、心臓へ送り込まれる血液の通る血管が静脈です。
次に「肺」や「全身」と心臓からの相手の立場で見てみます。動脈でも静脈でも肺につながっているなら「肺」という言葉をつけたくなるじゃないですか。ということで肺につながっている動脈・静脈の前に「肺」という言葉をつけて「肺動脈」「肺静脈」のできあがり。同様に全身につながる方は、全身のあちこちなので大きい、「大」をつけて「大動脈」「大静脈」となります。
そして、心臓(左心室)⇒全身⇒心臓(右心房)と心臓から心臓までのルートを体循環、心臓(右心室)⇒肺⇒心臓(左心房)の心臓から心臓までのルートを肺循環といいます。
で、この手の図には教科書でも何でも血管に赤と青の色をつけてありますね。赤は、酸素の多い血液、青は二酸化炭素の多い(酸素の少ない)血液です。この図に、どのように色分けしたらいいでしょうか。
酸素は肺で取り入れられ、全身の細胞で使います。つまりその区間だけ酸素が多い血液となります。ということは…
こうなります。赤で示された酸素の多い血液は動脈血、青で示された酸素の少ない(二酸化炭素の多い)血液は静脈血というのは呼吸のところでやりましたが、すると…
肺動脈には静脈血が流れ、肺静脈には動脈血が流れるということがわかります。つまり「動脈に流れる血液は動脈血だ」とは限らないのです。ここはよく誤解しやすいところなので、詳しくは【誤解のポイント】 動脈に流れるのは動脈血かで説明しています。
ここからは変則パターンの紹介です。小腸で吸収したブドウ糖やアミノ酸は、血管に入ったあと肝臓に行く、という話がありました。つまり小腸を通った血液はもれなく肝臓へ行くように血管がつながっているわけです。ふつうはどこか1か所の目的地についてガス交換などの仕事をしたら、さっさと静脈を通って心臓に戻るのですが、小腸へ行った後肝臓へ寄り道するというような、心臓(左心室)から2カ所の臓器を通って心臓(右心房)に帰るパターンはここだけです。
この小腸⇒肝臓の血管を門脈というのですが、この門脈は,食後にやたら栄養分が豊富にある血管となります。
なお、肝臓から見ると、小腸からくる血液は、小腸で酸素が使われてしまったので静脈血です。なのでこの血液で肝臓に酸素を供給することはほとんどできません。そこで、門脈とは別に、大動脈から肝臓へいく動脈血が通る血管があるのです。
あと、問題集的には、もう一つ腎臓が登場することがあります。腎臓を通った血液は別に他のところのよらないのですが、腎臓の機能から、ある特徴的な血液が流れるのです。これは排出のところで学習します。
一見、複雑に見える血液の循環経路ですが、やみくもに暗記するのではなく、そのようにつながっている意味をとらえ、人の体は非常にうまくつくられているな,というところを味わってもらいたいと思います。
結論:血液はこのような経路を通る
最後に1問。さっきの魚類の1心房1心室、動脈血と静脈血で色分けしてみましょう。
答えはこうです。肺から全身までが酸素の多い動脈血。全身から肺までが酸素の少ない静脈血。心臓は関係ないので惑わされないように。
今日の図のパワポファイルは
パワポって縦長にも設定できるんですね~。これつくって初めて気がつきました。
finale doğru kardiyo komitesi tekrar videosu izlensin pic.twitter.com/t9j2utOWwK
— silalala🪼 (@dr_linphea) January 24, 2023
コメント