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0080 実験レポートのかき方

IMRADという実験レポートの「型」

 実験レポートというのは、自分のやった実験、そしてそこからわかった知見を、他の人にわかるように説明するものです。
 それには、科学者が書く論文にも使われている、IMRAD(イムラッド)という構成(項目だて)でレポートを書いていくのがいちばんです。IMRADとはIntroduction(緒論)、Method(方法)、Results(結果)and Discussion(考察)の頭文字です。世の中にはこのパターンを崩したレポートもないわけではないですが、IMRADは基本の「型」です。型ができてない者がレポートを書くと型なしになる。メチャクチャだ。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる。どうだ、わかるか?

 もっとも、中学理科の授業で作る実験レポートの場合、Introduction(緒論)に当たる部分は実験の目的以外はなかなか書きにくいところがあります。また、IMRADとは別に、最初にタイトルや名前など、レポートの表紙にかきそうなことも必要ですね。

 この中学校の理科実験レポート版のIMRADがこちらになります。
 ちなみにロイロノート・スクールを使っています。これを使ってこのように表示すると、表紙を含む5つのパートの関係が示しやすいです。


 IMRADの特徴というのは、最初に実験の目的という形で、明らかにしたい、解決したい課題を示したうえで、最後の考察でその課題に対する答えを明らかにしていく構成です。なので、Qに正対するAを最後に示してやる必要があります。

そして最初の目的と最後の考察では、直接具体的な実験の話をしているわけではなく、一般的、抽象的な話が中心です。そして目的と考察に挟まれて、「方法」と「結果」という、具体的な実験の話が入ります。
もっというと、目的(導入)では一般的な疑問を整理して特定の条件を想定し、その特定の条件で実験(方法・結果)し、そこからこの条件での考察、ひいては一般的なことに言及するという、広い⇒狭い⇒広いという、ワイングラス🍷のような形になっているとも言えます。

レポートの各パート

ではここから各パートの説明です。

表紙

実験のタイトル、氏名、共同実験者(同じ実験班のメンバーのこと)、実験日、天気などを書きます。天気も書くのか、という声もありそうですが、天気だけでなく気温や湿度などを書くこともあります。実験によってはこれらの気象条件が影響することもあるためです。

目的

 実験の目的、すなわち、この実験で明らかにしたいことを書きます。
 例①4つの白い粉A~Cがそれぞれ食塩、砂糖、片栗粉のどれかを特定する。
 例②電圧と電流の関係はどうなっているか、これをを明らかにする。
 細かいことを言うと「目的」だとこういう書き方ですよね。「課題」なら「4つの白い粉A~Dはそれぞれ食塩、砂糖、片栗粉、重曹のどれか」「電圧と電流の関係はどうなっているか」など疑問形で済むけど。
 夏休みの自由研究では、ここに研究の動機などが加わりますし、科学者の論文だとここが「目的」ではなくIntroduction(緒論)となっているのは、目的はもちろんのこと、先行研究だとか、本研究(実験)の意義だとか、いろいろ書くことがあるからですね。
 理科の授業、それも教科書にある実験だと、どうしても「初めに課題ありき」なのでここが書きにくい。「先生にやれと言われたのでこの実験を行った」とか「教科書に載っているオームの法則を確認する」というのも微妙、というか、かっこ悪いですから。

方法

ここではどんな実験をしたかを書きます。これを読んだ人が同じ実験をできるように書きましょう。
ということで、まず「準備」で必要なものをリストアップします。試料や器具類などを忘れずに書きます。水溶液などは濃度もおさえておくといいですし、ビーカーなどはサイズも書いておくと親切です。あと複数必要なものは数量も。
そして「方法」では実験操作を詳しく書きます。
ここで、一つ注意してほしいのは、実験操作を書く場合、すでに終わった実験の報告ですから、「加熱する」ではなく「加熱した」のように、過去形で表記しましょう。教科書をまるうつしすると「加熱する」みたいな現在形になってバレるので気をつけて!

結果

そして出て来た実験結果。こちらも当然のごとく過去形で書きます。
表やグラフの形で結果を整理して表すのも◎です。ただし、特に表で表わす場合、例えば電流が流れたら○、流れなかったら×と記号を使うことが多いです。その時は○や×の記号がどんな意味かをきちんと示しておきましょう。これがないと何が言いたいのかわからないぞ!
そして、「結果」は「白くにごった。」のように結果だけを書くこと。「二酸化炭素が発生した」というのは事実ではなく解釈、つまり考察に書きます。
とはいえ、特に定性的な実験の多い化学領域では結果と考察の線引きは意見が分かれるところもあり、とりあえずあなたが生徒なら先生の指示に従いましょう。(あなたが先生なら、事実は結果、解釈は考察と分けて指導されるとよろしいかと存じます。両者の区別がつかないという生徒も多く、そこがレポート指導の大きな課題になっています)

考察

考察って何書くの?という話は昔したのですが、「結果」という証拠をもとに「目的」を達成するステップが考察です。白い粉が何か特定するのだったら、白い粉Aは水に入れたら溶けずに白くにごり、加熱したら茶色く焦げて、ヨウ素液を加えたら青紫色になったという結果がある。もしこれが食塩や砂糖ならそのまま水に溶けるはずだし、そもそもヨウ素液で青紫にならない。つまりデンプンである片栗粉だ!などと言えそうですし、電流と電圧の関係を明らかにするのが目的だったら、電流と電圧のグラフをかいたら原点を通る直線になったという実験結果を基に、「電流は電圧に比例する(ドヤッ)」と考察していきます。
 もちろん(特に教科書に多いのですが)実験の目的とは直接関係ない傍流の話題(たとえば水溶液が電流を流れるかどうかを調べる実験で、電極から泡が出てきた原因の考察など)も書くことがありますが、本来はそれはあくまでも枝葉の部分、ついでのおまけで、この実験で中心となるマストアイテムではありません。(もっともそれがないと次の学習につなげることが難しかったり、テストで問われることも多いですが)
 また、実験の振り返りや今後の展望(新たな疑問)などもこの考察の範疇に入るでしょう。
 さらに考察をまとめて、「目的」で示された問いにズバリ答える「結論」(もしくは「まとめ」)をあらためて項目だてることもあります。

まとめ

ここまでまとめるとこんな感じになります。では、ビバ!レポート作成!

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