考察とは?
実験をすると、結果が出てきます。もちろんそれを記録・整理します。
それと別に「考察」というステップがあります。
ところが、この考察って言うのがとってもやっかいなんです。
大学のときの学生実験でも、レポートでは考察がもっとも重視される、とさんざん言われていたのですが、じゃあ考察に何を書けばいいんだ?と悩んだ経験が私にもありました。そして、過去レポの丸写しに走るのでした…。
生徒にとっても全く同じ。何書けばよいのかわからない。
で、先生に「考察って何を書けばいいのですか」と聞いてくると、よく返ってくる答えが
実験でわかったことを自分の言葉で書くのです
これでは生徒にはきちんと考察が書けないこと、請け合いです。
たいていの場合、生徒は気づいていないわけじゃないんです。わかってないわけじゃないんです。
どこの部分を書けばいいのか(どの視点からみればいいのか)がわからないだけなのです。
その証拠に、次の授業で先生が考察をまとめると、「えっ、それでいいの」「そういうことを書けばよかったわけ?」みたいな反応はありませんか。実験によっては、考察で求めている内容が、子どもにとっては「それがどうした」レベルの、特にわざわざ考察に書くような価値を見いだしていないことがよくあります。
ではどうしたらよいのでしょうか。
とりあえず、「考察って何を書けばいいのですか」と言う質問には、
「この実験の課題(目的)って何だっけ?」
と、質問で返しましょう。ただし、実験の説明をする最初で、実験の課題(この実験で何を明らかにしたいか)をきちんと説明することが(ワークシートにきちんと書くことが)必要です。考察の「行き先」(方向性)を示してやることによって、どの視点で実験結果を分析・解釈・表現していくか(言語化していくか)が見えてくるはずです。
そしてこのスタンスを一貫してやっていくことで、目的意識をもって実験に取り組むような態度を育ませる効果も期待できます。
結果から結論(課題に対する答え)への道筋、それが考察なのです。
考察の指導と評価にあたって
考察の指導と評価をする際に、押さえておきたいポイントは3つあります。そこを意識して指導し、そこを意識して評価していきましょう。
1.結果を根拠にすること/しているか
考察のスタートは、実験結果です。ただし別に考察の文章を結果から始めなければいけない、という意味ではありません。
「石灰水が白く濁ったので、二酸化炭素が発生したことが分かる」というふうに、「石灰水が白く濁った」という結果を根拠にして、「二酸化炭素が発生した」という解釈をしていく、ということです。
「考察に結果を書かない(結果と考察は分ける)」という指導はよくききますし、もっともなのですが、結果は【考察】の欄にも考察の根拠として登場するため、その結果、結果は【結果】の欄と【考察】の欄に2回出てくることになるので、生徒の誤解や混乱を招かないようにしておく必要があります。
結果が考察にも書かれる重複感を避けたい場合は、結果で「①発生した気体を石灰水に通すと白くにごった」「②試験管の壁に発生した液体を青色の塩化コバルト紙につけると桃色になった」などと番号をふっておいて、考察では「結果①より、発生した気体は二酸化炭素である」「結果②より、発生した液体は水である」というふうに書いていくとよいでしょう。
2.結論は課題に正対させること/しているか
詳しくは、こちらの記事の「理科の授業あるある」のところで書きましたが、「考察では何を書くのか」という疑問が生じる場合、課題の存在がすっ飛んでいる可能性が高いです。
結論は、考察のゴールであると同時に、課題から始まる探究活動のゴールでもあります。課題に対する答えを明確に示さないといけません。だから「考察って何を書けばいいのですか」には「この実験の課題(目的)って何だっけ?」が効くのです。
3.結果から結論までの論に飛躍がないこと/飛躍がないか
1・2ができていれば、ここはたぶん大丈夫だと思います。
むしろ粒子を柱とする領域の実験の場合、結果がそのまま結論になりそうなものもあり、逆に何を考察するんだ!というところあるかもしれません。
「酸性・アルカリ性の水溶液の性質は?」⇒「酸性の水溶液はリトマス紙が…、BTBが…(結果の羅列)」てな感じで。
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