0811 グラフのかき方(2) 軸
グラフの主役はプロット(点を打つ)作業のように思う人も多いかもしれません。表から一組の数値を読み取り、それを縦軸と横軸の該当する座標のところを探して打っていく。それを何点も何点もひたすら繰り返す。ひたすら点を打つ人生。なんでこんなことしてんだろ…なんて遠い目をする人もいるでしょう。
そんなときは新庄 耕『狭小邸宅』の上司のごとく、自分を鼓舞しましょう。
「おい、お前、今人生考えてたろ。何でこんなことしてんだろって思ってたろ、なぁ。なに人生考えてんだよ。てめぇ、人生考えてる暇あったら点を打てよ」
ええ、自分に向けて言うのだったら、パワハラにはなりませんし。
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ただ、点を打つ前に設定する「軸」、こちらも重要性という意味では捨てがたいものがあります。グラフの形が分かったところで、縦軸と横軸が何かが分からなかったら意味がないじゃないですか。
縦軸と横軸を何にするか
グラフをかくと示せるのは、「力の大きさとばねの伸び」「加熱時間によるエタノールの温度変化」「3時間ごとの気温のデータ」のように、2つの数量の関係です。そしてその2つの数量の片方を縦軸、もう片方を横軸にします。
この3つは、いずれも中学校で各グラフですが、正比例になる例と、曲線のグラフになる例と、折れ線グラフが許される例として挙げています。
このとき、どちらを縦軸にして、どちらを横軸にするかは、明確に決まっています。
横軸 - 縦軸
変化させた量 - 変化した量
こうしたら - こうなった
原因(条件) - 結果
こっちで指定 - 向こうが決める
独立変数 - 従属変数
実験する側の方で好き勝手に変える数量の方が横軸、その結果として測定した量が縦軸にきます。
力の大きさとばねの伸びでは、力の大きさを変えて、その結果ばねがどれだけ伸びたかを調べましたから、力の大きさが横軸、ばねの長さが縦軸です。
「加熱時間によるエタノールの温度変化」では、加熱開始の時点(0分後)で何℃、1分後に何℃、2分後に何℃…というわけですから、加熱開始からの時間が横軸、温度が縦軸になります。
「3時間ごとの気圧のデータ」なら、横軸は3時、6時、9時…の時刻、縦軸は気圧となります。
軸の線を引く
これは、前回(旧ブログに記事を載せたのが2010-09-24…13年近く経ってる!)にも書きましたが、方眼紙の水色はどうせ消えてしまう運命と割り切り、方眼紙の線をそのまま軸にするのではなく、きちんと方眼紙の線をなぞってできればペン(消しゴムで消えないもの)で軸の線を引きましょう。1枚の方眼紙の中で、1つのグラフをかくとした場合、軸の外側にも後述の通りいろいろ書きますので、それを見越して全体のレイアウトも考えるとよいでしょう。
ペンで軸をかくといいのは、この後鉛筆で点をプロットする際に、打ち間違えて消しゴムで消すときに、巻き添えを食って軸まで消してしまわないようにするためです。
軸のまわりにいろいろかく
次に軸の周りに目盛りや単位、項目名などをかいていきます。
データを見て、その値の範囲をとらえ、点を打った時に、軸からはみ出ないようにします。
軸の最初の値は必ずしも0にする必要はありません。例えば、横軸に時刻、縦軸に気圧の目盛りを軸にふるとき、気圧の一番下の値を0にしてしまうと、気圧のだいたいの値である1000hPaに対し、気圧の変化は微々たるものですから、ほとんど変化のないグラフになってしまいます。なので、台風とかがなければ、例えば一番下を980hPa前後にしても全く構いません。
また、小学校の算数ではこのような場合、2本の波線を使って省略を表すことを習ったかもしれませんが、それはしてはいけません。
そうして目盛りとそれに対する数値をふっていきましょう。
目盛りは、このグラフのように軸の内側だけにつけます。軸の外側や両方につけないようにしましょう。
目盛りから軸を挟んで左や下に、目盛りが示す数値を書きますが、ここには単位はつけません。単位は、縦軸なら一番上、横軸なら一番左に( )をつけて、(g)(cm3)のように書きます。
なお、原点が縦軸も横軸も0の場合、横着して一つにまとめることはせず、縦軸、横軸それぞれに0を書きます。
そして質量、体積などの項目名を書きます。縦軸の方は縦書きにせず、横書きを反時計回りに90°回転させるのが世界標準らしいのですが(そもそも縦書きができない言語も多いからね)、日本の高校以下では教科書でも読みやすいように縦書きにしているガラパゴス仕様です。
また、大学レベルになると、(g)(cm3)というかたちではなく、 質量/g 体積/cm3 のように表す流儀もあります。たとえば、30g/g=30と軸の数値は無名数(単位のつかない数)にしたわけです。
さらに、数値が2,4,6…ではなく、2.0,4.0,6.0…となっているところに気がついた人は鋭い。これは測定値の有効数字をさりげなく示しています。
ここまでできれば軸については完璧です。次回はプロットです。
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