PR

0094 石灰ふしぎ発見!(後編)

石灰石

石灰ふしぎ発見! 後編では石灰石からいってみましょう。
石灰石の定義はJIS R9200:2016ではどうなっているのでしょうか。

石灰石 086 limestone
石灰岩の工業用語。方解石,あられ石などを主な構成鉱物 とする堆積岩。主成分は炭酸カルシウムである。 窯業,製鉄業,各種化学工業などの主要な石灰原料として 用いられる。

「石灰石」って工業用語だったんですね。

そしてその主成分である炭酸カルシウムについて

炭酸カルシウム 107 calcium carbonate
CaCO3。密度 2.71g/cm3(カルサイト型),2.94g/cm3(アラゴナイト型),2.54g/cm3(バテライト型)。898℃,101.3kPaで分解して酸化カルシウムとなる。

 本筋と全く無関係な話なんですが、天気図でヘクトパスカルhPaに慣れた身としては、101.3kPaという表現が逆に新鮮。普通に「1気圧」という表現もSI単位の縛りからできないんだろうなと邪推。

それはさておき、「炭カル」という用語もわざわざ取り上げられていました。

炭カル 106 calcium carbonate
炭酸カルシウム製品の総称。重質炭酸カルシウムと軽質炭酸カルシウムとがある。

 この「炭カル」という用語は、JIS R9200が1999から2016に改訂されたときに変更がありました。1999版では「炭酸カルシウム粉末製品の総称」とされ、英訳もcalcium carbonate powderとなっていました。つまり、粉末のみの扱いから炭酸カルシウム全般に範囲を広げたというわけですね。
 あわせて、炭カルの分類も、1999年版では「重質炭酸カルシウムと沈降炭酸カルシウムとがある。」でした。沈降炭酸カルシウムについては、現在の日本薬局方の中でも健在です[日本薬局方・医薬品各条(タ~ホ)の20ページ目]が、逆に言うとそれ以外の業界では「軽質炭酸カルシウム」という表現の方が多いようです。そのあたりを踏まえた改正のように思えます。


 ちなみに、重質炭酸カルシウムのはなしは大変勉強になります。また、白石工業株式会社のサイトにあるDr.タンカル豆知識も、大変勉強になったのですが、リンク切れになってしまいました。データを消したようです。(泣)

そして、炭カルの一つ、これも JIS R9200 に載っています。

白墨 126 chalk
焼せっこう又は炭酸カルシウムを主材として成形し,黒板その他に使用する用品。チョークともいう(JIS S 6009 参照)。

日本理化学工業 ダストレスチョーク 白 72本×10箱

新品価格
¥6,909から
(2023/11/23 01:18時点)


ところで、前編の最初にあった用語「石灰」の定義をもう一度見てみましょう。

石灰 084 lime
生石灰,消石灰の総称。石灰石も含める場合もある。

石灰には石灰石も含める場合もある。ということなので、石灰石は話の流れ次第で石灰の仲間に入れてもらえたり、もらえなかったりします。

苦土石灰、有機石灰

で、園芸(農業)の世界では苦土石灰や有機石灰というのがあります。
苦土石灰はドロマイトという鉱物からつくられます。

ドロマイト 114 dolomite
CaMg(CO3)2。菱面体(三方晶)系。密度 2.87g/cm3。1 次分解温度約800℃,2 次分解温度約 900℃。CaMg (CO3)2の複塩を主成分とする岩石で,苦灰石,白雲石ともいう。

 化学式からわかる通り炭酸カルシウムと炭酸マグネシウムですね。ちなみに「苦土」とはマグネシウムのことです。

刀川平和農園 平和 粒状苦土石灰 10kg

新品価格
¥1,121から
(2023/11/23 01:20時点)

 また、有機石灰 貝殻や貝殻化石を原料とする炭酸カルシウムの石灰肥料です。
したがってこれらは石灰と名がつきますが、その成分に生石灰や消石灰は含まれておらず、炭酸カルシウムが使われています。炭酸カルシウムが「石灰」と扱われている例ですね。

平和 有機石灰 10kg

新品価格
¥1,656から
(2023/11/23 01:21時点)

炭酸カルシウムのメリット

 炭酸カルシウムのいいところは、酸性ならpHを上げて酸性を弱めるけれども、中性なら何もしないということです。消石灰の場合、水に溶ければ速攻でアルカリ性になるので土にまきすぎた場合、必要以上にアルカリ性になってしまうことがあります。

 さらに、炭酸カルシウムによる中和といえば、草津温泉で湧き出た温泉が流れる湯川がpH2前後と酸性が強いため、川沿いの草津中和工場から石灰石をひたすら川に投入し続ける中和事業についても触れておきたいところ。詳しくは、品木ダム水質管理所のサイトで。


石膏

 最後に石灰とよく間違われる石膏についても触れておきましょう。石膏は、完全に石灰とは別物です。

せっこう 089 gypsum
硫酸カルシウムの総称で,通常は二水せっこうをいう。158硫酸カルシウムを参照。

 参照というので参照してみます。

硫酸カルシウム 158 calcium sulfate
CaSO4の総称。水和形式では CaSO4・2H2O(二水せっこう),CaSO4・1/2H2O(半水せっこう),CaSO4(無水せっこう)の3種類がある。 試薬(JIS K 8963)ではその二水和物(CaSO4・2H2O)だけを指す。せっこうともいう。

 炭酸塩と硫酸塩ですから、たしかに完全に別物ですね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました