0966 【化学変化と電池03】金属イオン(3) 探究の過程を振り返る

前回で探究は終わったようですが、その過程を振り返ってみましょう。

1.考察が課題と対応しているか
「課題」については以前「理科の教育」にも書きましたが、考察の最後にくる「結論」は、課題で示された問いに正対した「答え」を示さなくてはなりません。うっかりすると、微妙にそこがずれていたりすることがあります。
そういう視点で今回の課題と結論を並べてみましょう。

課題 金属の種類によって、イオンのなりやすさに違いがあるのだろうか。
結論 金属の種類によって、イオンのなりやすさに違いがあり、銅、亜鉛、マグネシウムの間ではイオンになりやすい順に、マグネシウム、亜鉛、銅といえます。

結論は課題の問いにきちんと答えていますね。結論の後半は具体例を述べていて、課題と比較するにあたってはカットすることも可能ですが、あったほうが丁寧に答えている感じがします。

2.根拠を基に結論を導いているか
 それだけだとシンプルになりすぎ、そこで学習したい内容が完全にカバーしきれないこともあり、でついつい余計なことをしなければならないという大人の事情もありますが、「考察」の最大の目的は、結果(根拠)から結論(課題の答え)へ導くことです。

 実験結果はあくまでも単なる事実なので、それを考察で分析し解釈していくわけですが、しばしば考察でどの結果からそうなるのかを示さずいきなり解釈だけ表れたり、解釈をすっ飛ばしていきなり結論を出したりしていることもあります。そんなことがないか、チェックしておきましょう。

たとえば、銅についての考察を見ると

A2,A3で、銅が析出したことより、銅イオンが銅原子になった。
B1,C1は銅がそのままだったことから、イオンにはならなかった。
したがって、銅はほかの2つの金属より原子になりやすいと考えられる。

とあります。「A2,A3で銅が析出した」という事実(実験結果)を「銅イオンが銅原子になった」と分析し解釈していますね。
B1,C1も同様です。その結果、「銅はほかの2つの金属より原子になりやすいと考えられる。」と「小さな結論」を出しています。
実験結果という根拠を基に結論を出しています。

3.新たな問題を見いだしているか
 これについては前回の内容では触れていません。
 ですが「金属の種類によって…」という課題に対し、今回の実験ではとりあえず銅、亜鉛、マグネシウムの3種類の金属でやってみましたが、金属はほかにもあるので、「ほかの金属ではどうなるのかな」みたいな疑問がもてる程度には、受け身にならず、頭を回転させておいてほしいものです。

とはいえ、「食塩には電流が流れない」「水にも電流が流れない」「食塩水には電流が流れる」という3つの事実を並べても何の疑問も感じない人も少なくないのもまた事実だったりするので、この辺りは理科教育を携わる者に与えられている「課題」かな…。

ちなみに、金属原子がイオンになろうとする性質をイオン化傾向といい、その大きさは金属の種類によって異なります。具体的には…
Na>Mg>Zn>Fe>Cu>Ag
となり、この序列をイオン化列といいます。

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