さて前回、
食塩にも精製水にも電流が流れないなら、それらを混ぜたところで電流が流れる要素はないはずだろ?なのにどうして食塩水に電流が流れるんだよ?
という壮大な疑問を提示しましたが、壮大な疑問なので簡単には説明できません。
なので、もう少し前回の実験を掘り下げていきましょう。
①食塩には電流が流れない
②水にも電流が流れない
③なのに、食塩を水に溶かした食塩水には電流が流れる
こう見てみると、こんな疑問(発想)がわいてこないでしょうか。
他の物質だったらどうなるんだろう?
これが最初の課題です。
課題:食塩ではなく、他の物質でも水溶液にすると電流が流れるのだろうか。
ってことで、手あたり次第の水溶液について、電流が流れるかどうか調べてみましょう。
やり方は簡単。
①電源装置-豆電球-ステンレス電極-電流計-電源装置 という回路をつくり、3~6V程度の電圧を加えます。
②ステンレス電極を水溶液に入れて電流が流れるかどうかを豆電球や電流計で確かめます。
③別の水溶液に変えるときには、ステンレス電極を精製水で洗いましょう。
前提として、精製水はつかない。
砂糖水、つかない。
うすい塩酸、つく。
エタノール水溶液、つかない。
雨水、びみょー。でも電流計を見るとちょっとは電流が流れている。
ポ●リ。案外電流が流れている。
などなど…。
以上より、どうやら電流が流れる水溶液と電流が流れない水溶液があるようです。
ということで、「水溶液にすると電流が流れる物質と水溶液にしても電流が流れない物質がある」ということがわかりました。これは「食塩ではなく、他の物質でも水溶液にすると電流が流れるのだろうか。」という課題に正対した結論になりますね。これにて一件落着です。
結論:水溶液にすると電流が流れる物質と水溶液にしても電流が流れない物質がある
なお、食塩(塩化ナトリウム)や塩化水素(水溶液「塩酸」の溶質)のように、水に溶かしたときに電流が流れる物質を電解質、砂糖やエタノールのように水に溶かしても電流が流れない物質を非電解質といいます。
これに関して注意事項が2つ。
1.「電解質」「非電解質」とよべるのは「食塩」「砂糖」のように、水に溶ける前の物質(溶質)を指すのであって、「食塩水」「砂糖水」のような水溶液を指すのではありません。「食塩水」や「塩酸」は「電解質(の)水溶液」という言い方になります。
2.電解質も非電解質も水に溶ける物質であることが前提です。
金属のように、水に溶かさなくても(そもそも水に溶けないけど)電流が流れる物質は電解質とはいいません。もちろん非電解質でもありません。
また、水(精製水)自身を「水に溶かす」ことはできませんから、水は非電解質ではありません。まして電解質でもありません。
鉄や水が電解質か非電解質かという質問は、「人間は有機物か無機物か?」というアレなのです。
ということで電解質でも非電解質でもない物質があるため、「電解質でなければ非電解質」とはならないのです。
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