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0125 エコカイロ

 カイロといえば、鉄粉や活性炭が入った使い捨てのカイロをイメージする人も多いと思いますが、最近ではエコカイロを、ノベルティなどで見かけるようになりました。袋の中に、液体が入っています。表示を見ると、PVC、蒸留水、酢酸ナトリウム水溶液とあります。PVC(ポリ塩化ビニル)は袋でしょうから、中身は酢酸ナトリウム水溶液と蒸留水ということになります。

液体をよく見ると、中に小さな金属板が入っています。

これを曲げるように押すと、金属板のところからその周りへ、だんだんと白く結晶化していきます。このとき、発熱していきます。

 商品の説明書きには
化学反応が起こり、商品が発熱し、液体が白く結晶化します。
とありますが、ここで起こっているのは、正しくは化学反応(化学変化)ではありません。

 化学反応(化学変化)だと酢酸ナトリウムが別の物質になってしまいます。ここでは単に、酢酸ナトリウムが液体から固体に変わった、つまり状態変化が起きたに過ぎません。ただ、小学校や中学校では表だって扱わない「過冷却状態」から凝固したというケースですが。
参考:酢酸ナトリウム・3水和物の融点は58℃
 あと、状態変化の授業でエコカイロをネタにしようとしている人は、近藤浩文「酢酸ナトリウム三水和物を用いた融解における温度変化の測定」北海道立教育研究所附属理科教育センター研究紀要,21,pp.14-15,2009も参考になります。

 さて、この固体になった(結晶化した)エコカイロですが、“エコ”カイロというだけに、再生させることができます。

一度固体になった酢酸ナトリウムを加熱して液体にし、それを融点を超えて常温まで冷やし、過冷却状態を作り出せばいいのです。具体的には、沸騰したお湯で10分から15分間煮て、中身が完全に透明な液体になったら冷やせばOK。

熱湯から出した直後は液体の粘性が小さいのか、常温でさわったときの弾力がありません。ふつうの水のようなサラッとした感じです。

冷やすと、弾力が出てきました。

とはいえ、1個のエコカイロを再利用するためにそんなことわざわざするかな~と。もらい物の場合とか特に。そうすると結局1回しか使われない運命のエコカイロが非常に多いような気がします。エコカイロは本当にエコなのでしょうか。疑問を禁じ得ません。

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