株式會社島津製作所標本部 presents 人造絹糸製造順序及製品標本
人造絹糸、現在では「レーヨン (rayon)」といった方がわかりやすいですね、化学繊維の一つです。フランスの化学者シャルドンネ(Hilaire Bernigaud de Chardonnet 1839~1924)が1884年に発明、1889年のパリ万博で発表。日本では金子直吉が日本でこれを作りたいということで、仲間を集めて設立したのが帝国人造絹糸(現・帝人)。大学発ベンチャーの草分けでもあります。
上出健二 人造絹糸の父-Chardonnet 『高分子』50巻6月号(2001年) pp.405-407
というわけでふたを開けてみました。まずふたの裏から。
何が入っているのかの説明があります。
そして中身です。
ところで、ふたに穴が開いていました。この穴のところにあった瓶が割れていました。
左にあるのはパルプですが、割れていたのは右側の苛性曹達、つまり水酸化ナトリウムNaOHです。アルカリによって周りの紙製の箱も痛めているのですね。
パルプ中のセルロース(繊維素)に水酸化ナトリウム水溶液を作用させると得られるのがアルカリ繊維素です。
これを二硫化炭素と反応させてできるのが
キサンテート (セルロースキサントゲン酸ナトリウム) (C6H9O4・OCS2Na)n で、
※リボンストロウが何なのかは不明。ググっても麦わら帽子か、ストローをリボン型に折ったのしか出てこないし。
(知っている方がいらしたらぜひコメントを!)
これをうすい水酸化ナトリウムに溶かした粘り気のある液体がビスコースです。
水は…水酸化ナトリウムを薄めるのに使う??
ビスコースを硫酸浴へ押し出して紡糸してレーヨン原絲のできあがり。
原絲を晒して人工絹絲と成増。
製品群。1.レース糸
2.刺繍糸 3.羽織糸 4.平打帯止
5.袋打帯止
6.リボン 7.リボンストロウ製真田 (真田帯?)
写真を撮ることもさることながら、この歴史を紐解くような解読作業が案外大変です。ネット以外にも大学の図書館などでヒントになりそうな資料を探すこともあります。
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