準備室の奥の棚を整理していたら、いかにも古そうな箱が。
ふたを開けてみると、「マッチ製造順序及其製品標本」マッチの作り方を解説した標本教材のようです。
ふたの裏と側面
で、「製品」のマッチを取り出してみました。当たり前ですが、ちゃんと中に、マッチが入ってました。
左側にあった「安全マッチ」がこれです。
このマッチに書かれている「東洋燐寸株式會社」という社名は、調べたところ、1917(大正6)年から、1927(昭和2)年の間にしか使われていないようです。したがってこの標本も大正時代のものと推定されます。
では、「安全マッチ」ともう一つのマッチは何マッチなのでしょうか。「危険マッチ」それとも、まさか「デスマッチ」!?
もちろんそんな名前ではなく「黄燐マッチ」。黄燐を使ったマッチです。
ただし、「黄燐マッチ」については黄燐が有害で製造者の健康被害も深刻だし、うっかり摩擦や衝撃を与えてしまうと発火してしまうので、危ないのです。
それで1922(大正11)年6月に国内での製造が禁止されてしまいました。ということは、この標本の造られた時期も遅くともこの時期までということになります。やっぱり大正時代の代物です。
なのに黄燐の標本まである…
ただし本物ならば黄燐も黄燐マッチもとっくに発火しているはずなので、90年以上もこの状態でいるということは…レプリカということでファイナルアンサーでしょう。
黄燐ほどではないですが、マッチの原料ということで、結構すごいものが入っています。
塩素酸カリウム、二クロム酸カリウム、そして赤燐。
硫化アンチモン、光明丹(鉛丹:主成分は四酸化三鉛)
マゼンタ(フクシン)、群青(ウルトラマリン)
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