FC2でブログをやっていたときは、質問に限らずメールやコメントなどの反応が月に1回は来ていたのですが、理科関係の題材をこっちに移して解説した rikaniga.net のサイトは、FC2時代に比べるとコメントもメールも(おそらくはアクセス数も)激減し、ブログ移転は失敗だったかな…とちょっと後悔しています。
特にメールについてはFC2のときはかなり目立っていたのですが、このサイトでは、右下に小さく「お手紙はこちらから」となっているだけなので目立たず、メールを送りたい人は、少し探さないといけないのでハードルが高そうな気がします。
(メール欄を目立つところにするなどブログのレイアウトを変える余裕が現在はありません…)
そんななか、たぶん中学校の理科の先生から初のメールをいただきました。ありがとうございます!中身はこんなご質問(相談)です。
中学2年生で、動植物の生きるしくみを教える際に、単元の流れを考えていると、どうしても最終的に細胞呼吸にたどりつくその流れを生徒の頭の中に落とし込むという風にして、授業を作っているのですが、1つだけ問題がありまして、それが「細胞呼吸が生徒に実感できる実験が見つからない」ということです。もし、先生が知っている中で、細胞呼吸によって何かしらの変化が見られるような実験(この部分も細胞でできていて、細胞呼吸によってある特定の活動を示すなど)がありましたら、教えていただきたいのです。
ん~、細胞呼吸ですか~。教科書もそうだし、私もそうですが多くの授業ではおそらく細胞呼吸については、そういうことをやっているんだ、と説明で終わらせてしまうところですよね。ここに切り込んできたのはお目が高い。
一方、細胞呼吸は内呼吸とも呼ばれるように、体の内部でのはたらきです。それを生徒が実感できるような実験(事象)を、しかも中学校の理科室で可能なレベルで提示できるか…。正直、今まで考えたこともなかった案件です。
ということで考えながら、こんな返信を書きました。
生徒が実感できる細胞呼吸の実験についてご相談ですね。なかなか難しいところに挑むスピリットに敬意を表します。
パッと思いつくアイデアとしては、自分の体で細胞呼吸を確かめる方法が考えられます。実験としては非常に簡単で、息を止める、それだけです。当然、苦しくなりますね。これは、外呼吸、すなわち外からの酸素の供給をストップすると、だんだん体内の酸素が減っていくから、苦しくなる。つまりこれは体が酸素を必要としている、すなわち細胞呼吸をしているからだ、とたたみかける方法です。
ただ、理屈っぽいので「実感」とは程遠く、「コレジャナイ」感がぬぐえません。
というのも、外呼吸については、深呼吸だとか息を止めたりだとか、普段から体験的によくわかっているのに対し、「今自分の細胞が呼吸している」と意識すること自体がないからです。理科の授業から離れた日常で「呼吸」というと、外気を体内に取り入れるまでの外呼吸のことで、細胞呼吸のことはさしませんし。
細胞呼吸を実感することの難しさはここにあります。
では、他に何かできないかな…と考えると、実験を構想する着眼点として、
①細胞呼吸というくらいだから(個体ではなく)細胞を用意する。
⇒1つの細胞は難しそうですから、ある程度のかたまりでもよいかもしれません。
②その細胞が呼吸していることを確かめる
⇒酸素が減る、または二酸化炭素が増えることを確かめる
とすると、いい感じにまとまりそうです。
でもこれって、葉をポリ袋につめて. 暗所に置いた後, 袋の空気を石灰水に通し
二酸化炭素の検出を確認するという、よくある植物の呼吸実験ではないですか。
なんとも『青い鳥』っぽい展開です。
でもこの実験を、形として整っている葉の代わりに、木材の削りくず(チップ)でやると、より「細胞」が呼吸している雰囲気がします。もしかしたら、たかが木材チップでそこまで酸素が減るのか?という疑問があるかもしれませんが、木材チップが原因で酸素欠乏症、事故につながった事例もあります。
実験としては、プラスチックの虫かごに木材チップを敷いて、虫かごの底付近の酸素や二酸化炭素の濃度変化を調べてみてはいかがでしょうか。(実際にやったことがないので、虫かごの大きさやチップの分量などの細かい条件は試行錯誤していただけると良いかと思います)
という回答で、今度実際に木材チップの実験をやってくださるとのこと。どうなるか楽しみです。
また、こんなアイデアがあるよ、細胞呼吸でこんな実験をやったことがあるよ、という方はぜひ、下から「コメントを書きこむ」で教えてくださいな。
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