私たちの体は何十兆個もの細胞でできています。
それだけたくさんあれば、形、大きさ、働きが異なる、いろいろな細胞があります。
特定の機能をもつ細胞cellが並んだり集合して組織 tissue をつくります。
組織は同じ機能をもった細胞が集まっていることもあれば (単組織)、いくつか異なるタイプの細胞が集まっていることもあります。 (複合組織)
動物ではたとえば上皮組織、 結合組織、 筋組織、 神経組織なんかがあります。
種々の組織が特定の機能を目的に集合して器官 organ を形成します。
そして各器官が連係して機能する器官系 organ system をつくり、それが統合されたのが
個体です。(物質の三態の「固体」と書かないように!)
逆から見ていきましょう。
ツバキの個体があります。
一つのツバキの個体は、仲間をふやしたり、栄養をつくったり、いくつものミッションをかかえています。
ところが、個体の体のどこでもすべての生物としての機能をもたせるというのも非効率ですから、
種子をつくる「花」、光合成などをする「葉」などと役割を分担します。この花や葉が器官となります。
「葉」という器官に注目すると
内部を保護する表皮とか
たくさん光合成するための柵状組織とか
蒸散など気体の出し入れをするスペースのある海綿状組織などの組織があります。
で、それぞれの組織はそれぞれの役割に応じた細胞が集まってできているのです。
このようにたくさんの細胞が集まって一つの個体を作っている生物を多細胞生物といいます。
これに対し、たった一つの細胞で一つの個体を作っている生物を単細胞生物といいます。
単細胞生物の例としては、ゾウリムシ、ミドリムシ、ミカヅキモ、アメーバなどがあります。
そして「単細胞生物」とは人をバカにする言葉じゃない、ということは拙著「授業をぐ~んと面白くする 中学理科ミニネタ&コツ101」でもふれたとおりです。
最後に、細胞の呼吸の話。
「呼吸」というと息を吸ったり吐いたりして、肺で酸素や二酸化炭素のやり取りをするイメージを思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、これだけが呼吸だとすると、呼吸について疑問がわいてくるのではありませんか。
「肺に取り入れられた酸素はその後どうなるのか」
「体外に出される二酸化炭素は、どこからやってくるのだろうか」
「そもそもなんで呼吸をする必要があるのだろうか」
実は、酸素を欲しがっているのは、肺ではありません。体中の細胞が酸素を欲しがっているのです。
(肺も細胞でできているから、「酸素を欲しがっているのは、肺ではありません」はおかしい、肺だって酸素は必要だろ、というツッコミはおいといてね、そういう話じゃないので)
肺から血管を通じて酸素を体中の細胞に運び、細胞で呼吸をするのです。
そして呼吸というと、つい酸素と二酸化炭素というイメージも強いですが、酸素の他に、栄養分などの有機物も必要です。
だから息を吸うだけでなく、ご飯も食べなくちゃいけないのですね。
有機物を酸素を使って分解し、その時出てくるエネルギーを取り出すことが呼吸の本質です。
このエネルギーを生命活動、つまり生きるために使っているのです。
なお、呼吸をすると、二酸化炭素と水が発生します。この二酸化炭素をまた肺に送り返し、体外に放出するのですね。
細胞も呼吸しているのです。これを細胞呼吸、もしくは体の内側の呼吸ということで内呼吸といいます。
※これに対し体外から肺までの気体の出入りを外呼吸といいます。
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