10月に続きまた品川区で研究授業の講師をやって参りました。
今回の授業も7年生(一般の中学1年生)の化学です。内容は気体のところです。身近な物から気体を発生させ、その気体は何かを同定する実験。
今回の授業のポイントは3つ
1つめ。「問題解決型(課題解決型)の実験」。
小学校では子どもの発言から、「では次にそれをやって(実験して)みよう」みたいに流れることも多いみたいですが、中学理科では、多くの場合、教師や教科書が実験方法を指示し、道具も指定されたものを使う、というパターンです。これに対し、具体的な課題があり、それを解決するために実験方法を自分で考え、実施し、考察し、そして結論を出す(解決する)というものが課題解決型の実験といえましょうか。
有名どころでは、教科書にも載っている定番、ミステリーパウダーの実験です。ちなみに、私が11月の公開研究会でやった授業は、いうなれば「ミステリープラスチック」です。
今回の気体の実験は、5時間かけて、気体の性質の学習をしたあとで、この実験に入りました。前提となる気体の性質の知識をしっかり固めているわけです。教科書の指導書を見てみると、「気体の性質」の学習は標準3時間(おまけとして+1)ってところですが、今回の授業を生徒が理解しながら進めるには、たぶん実際にこれくらい必要でしょう。ただし、この授業含めて豪華6時間スペシャルにしているわけですから、年間計画をしっかりしていないと、どこかにしわ寄せがきてしまう危険性があります。
それから、「なぜこの課題を解決するような必要があるのか」という、かっこよく言うと「リアルな文脈」をもたせると、よいパフォーマンス課題になりそうですね。
2つめ。個別実験の実施。
個別実験をやりたいという授業者の先生。一方、今日の実験操作は一人では難しいのではないかという見学された先生の声。で、講師の私に「個別実験のあり方」がふられてしまいました。はい、お仕事です。
個別実験かグループ実験かについて
個別実験のメリットとしては、一人で全部やれること、これにつきます。実験を他人まかせにさせない、という生徒を性悪説でいう言い方もできますが、生徒一人ひとりのペースに応じた作業や興味に応じた観察ができるという性善説な言い方もあります。
グループ実験のメリットとしては、端的に言えば、協力することで一人ではできない作業ができることです。グループ実験でも役割をきちんと分担すれば、人任せというのもある程度防げます。たとえば、何かを加熱してるときの温度変化を調べる実験ならば、4人いれば、①温度計を見る係②時間を計る係③温度を記録する係④かき混ぜる係、と分担できます。話し合いでも①司会②記録③計時④発表、などと分担することができます。
なので、実際に個別化グループかを考えるには、先生の気持ちの他、器具の数、生徒の能力(学年、生徒指導上の問題などをふくむ)、作業の複雑さなどなどから総合的に判断する、というところでしょうか。
3つめ。身近な物質の利用。
試薬の代わりにお酢などを利用していました。ちょっと食育を意識して食品を多く使うのも興味深いでしょう。家でできそう、というところも魅力的です。
一方、身近だけに怖いのが、気体の場合、「混ぜるな危険」があります。また、硫化水素による自殺が続いたことがありましたが、あのころに中学2年の鉄と硫黄の実験で硫化水素が出てきたときには、生徒は当然自殺の話題をふってきますから、それにどう対応するかというのは、教師に大変慎重さを要求するものでした。生命の大切さを当然の前提に、毅然と授業をすべきでしょう。
授業者への「『なんとなく』など、(発生した気体が何であるかの)予想の根拠が弱い」というつっこみには、以前の「実験結果の予想のねらい」をもとにフォロー。私自身、「根拠のない予想に意味はあるのだろうか」と結構否定的にとらえていた時期があり、それを経て、ちょうど昨年10月の研究授業の講師を引き受ける機会に恵まれ、根拠はなくてもこれじゃないかと予想することは、実験やその背後にある課題に対し、自分事として興味・関心を(現在だったら「主体的に学習に取り組む態度」を?)高める効果はある、ということをお話しさせていただいたわけです。みんな同じ悩みを抱えていたようで、結構この話は評判がよかったようです♪
あとこんな質問が
まとめや発表のやり方はどのようにしたら身につくのでしょうか。
おこたえ
まず、理科の評価の観点が「科学的な思考」から「科学的な思考・表現」となったことはご存じだと思います。(注・平成20年改訂の学習指導要領下での観点別評価の話で、現在とは異なっています)この変更の意義としては、思考の流れの延長上に表現があり、それを一体化して評価しよう、という考え方です。したがって、まとめや発表のような表現の、特に形式的なところについて、そこだけを切り取って考えるのではなく、その前段階の実験の考察などの段階から考えていく必要があります。その思考をどうやって表現したらよいのか?そこからまとめや発表のやり方が変わってくると思います。
もちろん生徒の実態によって、たとえばまとめの文章を穴埋めで完成させるようなフォーマットを用意したり、よいまとめや発表の事例をみんなで見るという方法もあります。ですが、発表やまとめの前の段階である思考の流れに即して、それにふさわしいまとめや発表をみつけていく、という考え方がベースで、その先にまとめや発表の工夫があるべきだと考えます。


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