1851 中学理科で解ける 共通テスト2025 化学基礎・化学編
続いては化学基礎と化学です。
化学基礎
第1問
問2 炭酸水素ナトリウムの粉末と塩化ナトリウムの粉末がある。この二つの粉末を区別することができない操作はどれか。最も適当なものを,次の①~④のうちから一つ選べ。
①粉末を蒸発皿に入れて徐々に加熱し,加熱前後の質量変化を調べる。
②粉末を希硫酸に加える。
③粉末を水に溶かして得た水溶液のpH をpH メーターで調べる。
④粉末を水に溶かして得た水溶液を白金線の先端につけ,ガスバーナーの外炎に入れて炎の色を調べる。
①炭酸水素ナトリウムは加熱すると分解されて二酸化炭素と水の分だけ粉末の質量は減るよね。だけど塩化ナトリウム、食塩は加熱しても何も起こらないから質量は減らないので区別がつく。
②中学生だったら希硫酸よりも希塩酸にしておくともっとわかるかな。炭酸水素ナトリウムは強い酸を加えると二酸化炭素を発生する。でも食塩なら硫酸を加えても何も起こらないから区別がつく。
③炭酸水素ナトリウムはフェノールフタレインが薄赤になる弱いアルカリ性。そして食塩はおなじみの中性。pHでも区別がつく。
④ということで残ったこれが正解ですが、中学校では扱わないので紹介しますと、炎色反応をやろうとしています。ところがどちらもナトリウム塩なので黄色い炎のまま区別はつきません。 ④ 3点
第2問
問1
a下線部(a)に関して,濃硝酸中のHNO3が熱分解すると次の式(1)に従って二酸化窒素NO2,酸素O2,水H2Oが生じる。
[ 111 ]HNO3 → [ 112 ]NO2 + O2 +[ 113 ]H2O (1)
式(1)の係数[ 111 ]~[ 113 ]に当てはまる数字を,次の①~⑨のうちから一つずっ選べ。ただし,係数が1の場合は①を選ぶこと。同じものを繰り返し選んでもよい。
①1 ②2 ③3 ④4 ⑤5 ⑥6 ⑦7 ⑧8 ⑨9
みんな大好き化学反応式の係数づくり。ただこれはちょっと骨がある。
まず元素はH,N,Oの3つあるけど、最初に揃えるのはH。Oは出番が多いし、Nは反応式の右辺と左辺で数がそろっている。
そこで、反応式の右辺と左辺で数がそろっていないHに注目すると、[ 113 ]は①かな、すると[ 111 ]は②か、と思う。
すると、Oの数は左辺は6個だけど[ 113 ]が①である以上、[ 112 ]がどんな整数であろうとも右辺では必ず奇数になってしまうので反応式は成り立たない。
じゃあ[ 113 ]は偶数、②だとしてみよう。水素の数より[ 111 ]は[ 113 ]の2倍の④となる。するとOは12個必要だ。Nの数から[ 112 ]は[ 111 ]と同じ④のはず。
4HNO3 → 4NO2 + O2 +2H2O
これなら、両辺にH4個、N4個、O12個で丸く収まる。お疲れさまでした。 ④④② 4点
b O2に関する記述として最も適当なものを,次の①~⑤のうちからーつ選べ。
①浄水場で水の殺菌,消毒に用いられる。
②空気に含まれる気体のうち,体積比で3番目に多い。
③酸化マンガン(Ⅳ)に過酸化水素水を加えると発生する。
④お湯に発泡入浴剤を加えると発生する。
⑤スナック菓子の袋に充填されている。
①節子、それ酸素やない。塩素や!
②節子、それ3番目やない。2番目や!
③節子、酸化マンガン(Ⅳ)ってのは、二酸化マンガンのことや!
④節子、それ酸素やない。二酸化炭素や!ちな、酸素系漂白剤なら出るで~
⑤節子、それ酸素やない。窒素や! ③ 3点
化学
第2問
問1 問1 発光に関する記述のうち. 下線部が化学発光ではないものはどれか。最も適
当なものを次の①-④のうちから一つ選べ。
①科学捜査において,鑑識がルミノール反応による光を利用して血痕を検出した。
②お祭りの屋台で,ブレスレット(腕輪)型のケミカルライトが光っていた。
③1910年のパリ自動車ショーで初めて公開されたネオンサインの光は人々を魅了した。
④夏は夜。月のころはさらなり,闇もなほ,蛍の多く飛びちがひたる。また,ただ一つ二つなど,(蛍が)ほのかにうち光りて行くも,をかし。(清少納言『枕草子』から抜粋・改変)
これの正解がどれかという話の前に、注目は④。いきなり「夏は夜」の枕草子。作問者の目で見てみると、共通テストはセンター試験時代から、お堅い雰囲気を崩そうと、あるいは受験生の緊張をほぐそうと、あえて「らしくない」ことをしたているように思えます。変なイラストとか、毎年同じキャラクターが出てきたり、変なストーリー仕立てにしたり。「夏は夜」もそのノリだったのかのかもしれません。あるいは理科を学ぶ意義と有用性という点でみると、古典のような理科とは全く別世界だと思っていたのが、実はこんなところで化学とつながるんだよ、というメッセージのようにも思えます。
特に古典や歴史などは「化学基礎」ではなく「化学」で受験する人は理系の人が多いでしょうから、苦手意識、それがさらに強ければ古典アレルギーのような状態になっているかもしれません。私も大学受験時代はそうでしたから、その気持ちよくわかります。でもね、40半ばあたりたら古典とか歴史とかの面白さというか深さみたいなのが急にしみじみわかるようになってな。ああこれが「教養」ってやつか、と思ってる。で、それが高じて「理科で読み解く百人一首」という天体の授業をやったんだけどな…(隙あらば自分語り)。
ま、いずれにしろ、ちょっとした出題の工夫として「やるなぁ、共通テスト」と感じていました。
が、SNS方面では化学で古文なんか出すなよと騒いでる人が多かったようです。蛍が光っているってことだけ読み取れればよいので、別に古文の知識が必要なわけでもないよね。にもかかわらず試験で失敗したのをこういう問題のせいにして(だから自分のせいじゃないと)マジで怒るのはちょっと余裕がないんじゃないかと。そういう人は結局どんな問題が出ても自分が満足できる結果が出ない限り怒るんだろうな。おっと、この文章を読んで怒りのコメントをしようとした人、そういうとこやぞ。
さて、高校生なら、ネオンなら化学変化しないような希ガス。で終了ですが、中学校でもネオン管を使って静電気の実験をやりますね。また、某社の中学校理科の教科書では、化学変化が日常に役立っている例として、ケミカルライトを紹介ているところもあります。 ③ 3点
第5問
問1 図1に示すように原油を分留すると,石油ガスと重油(残油)のほかに,留出物A~Cが得られる。この留出物A~Cの組合せとして最も適当なものを,次の①~⑥のうちからーつ選べ。
これって中1の教科書に載ってるんだよね。もちろん順番を覚える必要はないんだけど、こういうのに限って覚えてるやつっているんだよなぁ。上の方に行くほど沸点が低い、ざっくりいうと燃えやすくて危険というわけだ。そうしたらガソリン>灯油>軽油 とわからないかな。 ③ 3点
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