2025年8月23日に第75回日本理科教育学会全国大会(富山大会)に参加したときの課題研究の発表です。

第1学年地球領域「地層の重なりと過去の様子」にて、探究の過程中の「課題の把握(発見)」にスポットを当てた実践について報告させていただきます。

中学校学習指導要領解説にある「資質・能力を育むために重視する探究の過程のイメージ」 では、「自然事象に対する気付き」における理科における資質・能力の例として、「自然事象を観察し、必要な情報を抽出・整理する力」が 示されています。情報を抽出・整理することで、⇒関係性・傾向を見出す⇒課題を決定するという流れになりますから、情報を抽出・整理することは態度面は別として、具体的な探究の過程のはじめの一歩とも言えます。

とはいえ、ただ生徒に自然事象を提示して観察をさせただけでは、なかなかうまくいかないことがあります。生徒にとってどのような視点をもって観察すればいいのか、何を指摘したらいいのか、すなわち目の前の事象のどれが「必要な情報」が判断できず、その結果、「課題」を設定することが できなくなります。

その解決策としては、例えば、自然事象を観察するときに、具体的な観察の視点、つまり必要な情報は何かを示すことなどが考えられます。そこさえ示せば、必要な情報を抽出・整理し、関係性や傾向を見いだし、課題を設定することまでできるようになることも少なくありません。
ただし教師側から観察の視点を示した場合、生徒はそれ以外の視点で見ることが、視点を示さなかったとき以上に難しくなり、生徒からの多様な気付きや課題を阻害してしまうというデメリットも考えられます。

そこで今回報告する授業実践では、自分と直接かかわりのある事象を取り上げるという工夫で、生徒からの多様な気付きや課題をひきだすことを狙ってみました。
1年生地球領域の「地層の重なりと過去の様子」の単元で、自宅付近の柱状図を読んで、気になったこと、調べてみたいこ とを『課題』として表現するという学習活動です。
知らない場所ではなく、自宅付近の柱状図を読むことで、自分に深く関わるからこそ、いろいろな気付きがあり、課題が設定できるようになることを狙った授業実践を行いました。
なお、本校の生徒は東京、千葉、埼玉と広い範囲にありますので、生徒一人一人が調べる場所も異なっています。
では、授業の流れについて説明します。
この授業は「地層の重なりと過去の様子」(全9時間)の、最後の1時間で実施しました。一通りの学習が済んだ後の活動となります。
準備としては、1人1台Chromebookをもっていて、google classroom を日常的に使っている環境を生かし地質柱状図等へのリンクをまとめたページを作っておきました。
そこにリンクを張ったサイトのいくつかについて触れます。
産総研の20万分の1日本シームレス地質図 – 地質情報データベースは、表面の地質の詳細がわかります。形成時代や岩相なども示されています。
そして、メインとなる地質柱状図のサイトです。
東京の地盤(GIS)版では東京都内の柱状図がみられます。今ご覧いただいている画面にある黄色の点一つ一つに柱状図があり、見ることができます。
同様なものは千葉県や埼玉県にもあります。
詳しくは「0300 地質柱状図で地盤をチェック!」の記事をどうぞ。
サイトから見られるボーリング柱状図は、土質をしめした図だけではなく、その土質の色や密度、さらにN値と呼ばれるものなど、様々な情報が示されています。また、土質についても、授業で学習した「礫」「砂」以外にも生徒が初めてみるものもあり、説明が必要になります。
そこでわかりやすい資料はないかと探してみました。東京都中央区地盤情報システムにある「柱状図の見方」のpdfファイルが、大変わかりやすくこのリンクも貼っておきました。
授業の流れです。(ここで力尽きて、スライド見て話せばいいやと思って原稿をつくるのをやめた)






2点目として、専門的な資料を読み取ることについても振り返ってみました。
自分の家の土地はどうなっているかというオーセンティックな学習では、当然、実際の柱状図を使いたいところです。そうするとどうしても専門的なものになってしまいます。その未学習を含む専門的な資料を頑張って読み取られようとする、なかなか高いハードルを「自分事」で乗り越えさせたことになります。
理科ではなく、技術・家庭科などの他教科や総合的な学習の時間の範疇ではないか。という意見があってしかるべきかもしれません。このとき、「柱状図についての課題を設定しよう」などと指導というか誘導して認めない方法と、自由に認めるという方法が考えられます。今回は後者を選びました。
ここで設定した課題は授業としてはここで終わりで、次の時間ではやらないこと、また、そういう課題も日常生活や社会と関連付けて科学的にみているともいえること、そして、もしこの単元の一連の授業を受けなかったら、地質図を見てもこのような課題は出てこなかったであろうことを生徒自身が認識していることからこの授業の狙いである「地質図に基づいて課題を設定できる」ということがクリアできているためです。

そしてなんといっても、教師のコメント力が試されます。生徒がより地質図を見て課題づくりに没頭していけるような当為絶妙な声掛けも大切だということを実感しました。


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