H29 山形県 公立高校の入試問題より
大問8 問4をとりあげてみます。
はい、典型的な光の作図問題です。
凸レンズの作図の方法についてはすでに解説済みですね。
余談ですが、最近の凸レンズの作図問題では「光の進む方向は,凸レンズの中心線で変わるものとする 。」という呪文が唱えられることが多くなってきました。
これはどういうことでしょうか。
中学理科で作図をするときは、①レンズの軸に平行に入った光は焦点を通る②レンズの中心を通る光は直進する、という作図をしています。この作図では、呪文の通り、凸レンズの中心線で光の進む方向が変わっています。
しかし、凸レンズによる屈折は、実際には下の図のように、空気とレンズの境界2か所で起こっています。でも、ここまで意識して作図することはできません。
そこで、細けぇこたぁいいんだよ!中学校の授業でやった方法でやってね、というメッセージなのです。
つまり、普通の中学生に向けられたメッセージではなく、重箱の隅を楊枝でほじくって「出題ミスだ!」ととか言って騒ぎ出すクレーマー対策です。
なので、この点は気にしなくて構いません。
本題に戻りましょう。
この作図、当然定規を使うと思います。
授業でやったとおり、、①レンズの軸に平行に入った光は焦点を通る②レンズの中心を通る光は直進する、の直線を定規で引いて延ばし、その交点が像の場所(答え)だ、というやり方、もしかしたら減点されるかもしれません。
なぜか?
論より証拠、授業やテストなどでクラスで一斉に作図してみましょう。
これは今回紹介した問題とはちょっと違いますが、私が中学3年生対象のあるテストで出題した作図問題の正解です。
虚像なので点線でかくべきところもありますが、本筋とズレるためそこはスルーして普通に実線でかいています。
その問題にこのような解答が105人中18人いました。ちなみに正解者は30人です。
レンズや焦点(A)のあたりで定規で線を引き、それを左に伸ばして作図したものでしょう。やりかたは正しいです。
だけど、像の位置は正解のものと比べると完全にズレています。
そう、たとえ定規を使っても、ちょっとズレてしまうと、そのズレが拡大され、採点者も○を付けにくくなるのです!
採点する側はきちんと正解のマス目のところに像がかかれているかで正解か否かを判断します。
そこに正解のマス目からずれ、あまつさえ半目盛りぐらいズレてしまうとどうしても減点せざるを得なくなります。
理科の作図ではマス目を意識する必要があります。
特にななめに直線を引く時は横何マスに対し縦何マスか数えて、通るはずの格子点どうしを定規で結びましょう。
作図によって像のできる位置を求めるのではなく、マス目を数えて像の位置を計算し、そこに像ができるように作図をするのです。
今回は凸レンズの像を例に出しましたが、力の合成や分解でも同じことが言えます。
どうして解答欄の図にマス目があるのか、その意味を考えましょう。
それは解答する生徒のためにあるのではありません。採点する先生のためにあるのです(ドヤ
今さらですが、本問の正解はこちらです。
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