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0556 【生物と細胞5】細胞のつくり

 さて、そんな細胞ですが、前々回、観察すると気づいたことや疑問に思ったことがあるのではないかと思います。
なんか細胞の中に丸いのがあるとか、タマネギやオオカナダモの細胞は細長くきっちり詰まっているのに、ほおの粘膜の細胞は不定形だとか。細胞の中のつくりが気になりませんか?これらをひろっていきましょう。

課題:細胞の中のつくりはどうなっているのだろうか

たくさんある細胞の中にそれぞれ1個ずつ、なんか丸いのがありますね。染色液「酢酸カーミン」でたらしたら特に濃い赤くなりました。

これがという部分です。核は、細胞分裂(3年生で詳しくやります)をはじめ、細胞の活動の中心的役割をになっています。
細胞の中で核以外の部分を細胞質といいます。
また、細胞の一番外側にあるうすい膜が、細胞膜です。細胞膜は物質の出入りに重要なはたらきをします。

タマネギやオオカナダモの細胞は細長くきっちり詰まっているのに、ほおの粘膜の細胞は不定形ですね。
動物細胞と植物細胞では、そのつくりに違いがあるのです。
「核」「細胞質」「細胞膜」は動物細胞と植物細胞のどちらにもあるものですが、次から登場するものは植物細胞に特徴的なものです。

タマネギやオオカナダモの細胞と細胞の間の区切りにある太い線。フックが観察したコルクでにもありました。

これ、細胞と細胞の間にある「壁」ということで細胞壁(さいぼうへき)と呼ばれる部分です。

はい、そうすると、疑問やツッコミが出てくるのではないでしょうか。(というか、出てきてほしい)
細胞膜と細胞壁の違いは何か。なぜ植物だけに細胞壁があるのか。植物細胞は細胞壁があるなら細胞膜はいらないんじゃないか。

てことで、細胞膜だけの動物細胞と、細胞壁まである植物細胞の違いを模型を使って考えてみましょう。

動物細胞のモデルはビニール袋(細胞膜)に水(核や細胞質)を入れました。これだと細胞の形は自由に変わります。これで、動くのに対応しているわけです。

植物細胞は、動物細胞のモデルを紙の箱(細胞壁)に入れました。こうすると、細胞の形は箱の形に固定されます。細胞壁は、植物のからだの形を保つ役割があり、植物のからだを支えることができるのです。
植物細胞の細胞壁の主成分はセルロース。紙の成分でもあります。紙の箱に、水を入れたら、浸み込んでやがて漏れてしまいますよね。だからビニール袋(細胞膜)も必要なのです。

それから、オオカナダモをよく観察すると、細胞の中に、核よりも小さい、緑色の丸い粒がたくさん見られます。これが葉緑体です。光合成の舞台となるところです。

葉緑体は、教科書でも参考書でも植物細胞の図に載っています。もちろん載っていないとまずいのですが、そうすると植物細胞ならば必ず葉緑体があるはずだ!と誤解されることがあります。タマネギの鱗片の細胞には葉緑体なんてなかったでしょう、というとハッと気がついてもらえるのですが、教科書や参考書のあの図ばっかりみていると、つい、そんな錯覚に陥ってしまうので気をつけましょう。

それから、液胞。細胞内の水分の量を調節したり、不要物をためておく、倉庫のような場所です。詳しくは日本植物生理学会の「液胞の話」に譲ります。
なお、厳密にいえば液胞は動物細胞にもあります。ただし、動物細胞の液胞は発達しておらず、電子顕微鏡でやっと見えるくらいに小さなものです。なので中学理科では、「植物細胞に液胞が見られる」「発達した液胞が」みたいな言い方をして、専門家のツッコミを回避しています。

その他、高校レベルだとミトコンドリアとかゴルジ体とかあるのですが、ここまででも結構な量になったので割愛します。

結論:細胞の中のつくりはこうなっている!

Check it out!

細胞壁(日本植物生理学会)
細胞壁のはなし(東邦大学)
液胞の話(日本植物生理学会)

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