0578 【植物の体のつくりと働き02】葉のつくり・まとめ
ムラサキツユクサの表皮を観察したとき、気孔がありました。
気孔の「孔」は穴のことですから、気孔は、このたらこ唇みたいなものをさすのではなくて、あくまでも穴の部分をさします。
では、たらこ唇の部分は何なのでしょうか。これは気孔の周辺にある細胞ということで孔辺細胞といわれます。気孔を開閉する門の役割をしています。
他の表皮の細胞には葉緑体がないのに、孔辺細胞には葉緑体があるんだよね~。何の意味があるんだろ?(個人的な疑問で皆さんへの発問ではありません)
気孔の写真を撮ってもいつも閉じています。何とか開いた気孔の写真を撮りたいな~と。青い光をあてたらどうかな。(根拠:①②)
ツバキの葉の断面のつくりも見てみよう。
ここからは永久プレパラートを使おう。(せっかくあるので)
次の画像の上側が葉の表側、下が葉の裏側です。
表側も裏側も、いちばん外側の層は表皮です。
表皮をのぞいた葉肉の部分を見てみると…
葉の表面側は細長い細胞がギュッと詰まっています。
そのくせ裏側は細胞の形が複雑で、隙間も見られます。
さてここで質問。同じ広さの銀座の一等地と寂れた場所のどちらかにデパートを、どちらかに倉庫を建てたい。あなたならどっちに何を建てる?決してひっかけではありません。フツーに答えてください。
銀座の一等地にデパートを建て、寂れた場所に倉庫を建てますよね。だって、銀座の一等地にデパートを建てれば、売り上げがたくさん出て儲かりますから。倉庫の機能だけでみれば銀座の一等地と寂れた場所でも変わらないかもしれませんが、銀材の一等地に収益性のない倉庫を作るのはみすみす売り上げを逃すようでもったいない。
葉も同じです。「光」というお客さんを考えれば、光があたる表側はお客さんが多い銀座鳩居堂前。せっかくお客さんが多いのですから、「細胞」という店舗、そして「葉緑体」という店員をたくさん集めたデパート(柵状組織)をご用意して、「デンプン」という利益を効率的にむさぼりたいものです。一方、葉は外部と気体のやり取り(ガス交換)をしますので、気体を保管する「倉庫」も必要です。スペースを確保すると店舗は置けません。でも、光の少ない裏側ならどうせ細胞を置いてもデンプンはそんなにできないから、どこかに「倉庫」を置かなくちゃいけない以上、裏側に置くことが正解となります。
柵状組織はもともと強い光が当たるので、わざわざ吸収効率を高める必要がないため、光を通しやすい円柱形の細胞が集まっているのに対し、海綿状組織は柵状組織を通過した弱い光しか当たらないため、複雑な細胞の形により屈折が起こりやすくなり、柵状組織からの「おこぼれ」のわずかな光をできるだけ効率よく吸収しようとしている、という説明もあります。(参考:光合成システムとしての葉:光合成の生理生態学講座)
また、アヤメやスイセンのように、表裏両面に柵状組織があり,海綿状組織は中央に挟まれている葉もあります。
そして、その倉庫の出入り口が気孔ですから、気孔は裏側に多い、ということになります。
ただし、明るい野外で育てたヒマワリやイネは、表側と裏側の気孔密度(面積あたりの気孔の個数)はほぼ同じです。また、水面に浮いているスイレンやウキクサでは気孔は葉の表側にしかありません。
葉の裏側に気孔を置いてもその先にもっと水があって蒸散ができないスイレンやウキクサはともかく、他の陸上植物で、気孔を表側にもつメリットとデメリットは何か?という問題は難しくまだ解答は得られていそうです。たしかに、植物に聞いてみるわけにもいかないしな…。
それから葉脈の部分も見てみましょう。
この部分、管が何本も束になっています。
この管の集まりは、生命を維持する管の束ということで維管束と呼ばれ、上部は根で吸収した水や無機養分を通す道管、下部は栄養分を通す師管です。
水を通す道管
栄養分を通す師管
二つ合わせて維管束です!!
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