0564 「微生物」は「微小な生物」じゃない!?

2024年8月31日

先日、理科教育の現役で大御所の先生が集まって議論になったこと。
「微生物」と「微小な生物」の違い。

いや、堅気の人は普通に同じじゃない?と思うかもしれません。

ところが、以前の指導要領では、中1でミジンコとかゾウリムシとか観察するのですが、その時、「水中の微小な生物の観察」とかいって、ここで「微生物の観察」とは、まず言いません。

一方、3年生で出てくる菌類・細菌類は微生物であって、微小な生物というと、私などは違和感があります。

ということで、微生物の定義を調べてみる。

Wikipediaでは「微生物(びせいぶつ)とは、肉眼でその存在が判別できず、顕微鏡などによって観察できる程度以下の大きさの生物を指す。」とあります。ということで、肉眼で観察されるミジンコとかが微妙なのかもしれません。
また、「微生物とは、人の肉眼では構造が判別できないような微小な生物を指す言葉である。」とも書いてあります。

世界大百科事典 第2版では「微生物は」「顕微鏡でなければ観察できないような微小な生物の総称」とあります。

とすると、微生物は、微小な生物のうち、人の肉眼では構造が判別できない、顕微鏡でなければ観察できないレベルのものを指す、ということでしょうか。逆に言うと、「微小な生物」の範疇に、人の肉眼で構造がなんとか(余裕で?)判別できるような大きさの微小な生物も含まれる、と考えると「微生物」⊂「微小な生物」ではないかという仮説が生じそうです。

いやもちろん、厳密な定義はないのはわかっているのですが。

微生物とは何か(2010/10/2)

 微生物は単に「微小な生物」というわけではありません。
 動物である原虫や植物である真菌、原核生物のなかまである細菌、マイコプラズマ、クラミジア、リケッチア、さらには無生物であるウイルスやプラスミド、ウイロイド、そしてBSEの一件で知られるようになったプリオンも微生物といえます。

 これら微生物が誕生したのは38億年前です。原子の大気や海に含まれていた無機物が反応しあい、有機物が作られました。その有機物から微生物のもとである油滴がつくられました。その油滴から硫黄細菌、窒素酸化細菌、藍藻、放線菌、珪藻など、現在と同じ構造をもつ微生物が誕生したのです。

 そして我々人類は、これらの微生物と密接に関わってきました。
 味噌を造る麹菌、チーズは青カビ、ヨーグルトは乳酸菌、納豆はナットウキン、清酒酵母やビール酵母からはお酒やビールがつくられます。
 一方、動物や人に対し害を与える微生物もいます。トキソプラズマなどは原虫が引き起こしますし、赤痢や結核は細菌によるもの、インフルエンザや日本脳炎はウイルスで発生し、Q熱はリケッチアがその原因です。

 私たちは、これらの微生物についてよく理解して、関わっていかなければなりません。

理科コラム

Posted by rikaniga