0602 【動物の体のつくりと働き01】生命を維持する働き1 消化と吸収

 私たちは食物を食べている。そうしないと生きていけないからだ。
 食物から炭水化物だとかタンパク質だとか脂肪だとかの栄養分を得ている。

 ところがだ。この炭水化物だとかタンパク質だとか脂肪、こいつらはそのままの形ではからだの中に取り入れられないんだ。
 「え?ご飯をごっくんと飲み込んだらもう体の中じゃないの?」だって?いいツッコミだ。

 食べ物のちくわってあるだろ、ちくわ。穴が開いていて管のようになっている。
 その穴にチーズを入れた「チーズちくわ」ってのがあるんだ。知ってる?あ、食べたことある。うん、うまいよな。
(PhotoACより)
 で、あの「チーズちくわ」のチーズは、ちくわの「中」にあるのか?ちょっと哲学的な問いみたいだけど。

 これには「ある」と答える人と「ない」と答える人がいる。それぞれの理由を考えてみてくれ。
 「ある」と考えた人は、ちくわという管の中にチーズがあるのだから、当然チーズは、ちくわの「中」にあると考えた。
 「ない」という発想は、わかるかな。ちくわというのは魚肉を練ったものを竹とかの棒に塗りつけ、焼いたり蒸したり煮たりしてつくる。最後に棒を抜いて出来上がり。さて、チーズちくわのチーズは、この魚肉と一緒に練られたものだろうか?そう、違うよな。だからチーズはちくわの「外」にある、という考え方だ。

 このチーズは中にはない、という考え方を、ちくわは人体、ちくわの穴は消化管、チーズを食物と置き換えて考えたらどうだろう。 ごっくんとのみこんで、胃袋の中に入っているご飯は、体の「中」に入っていない、ということが分かってもらえるだろうか。

 食物に含まれる栄養分が、この、本当の意味で体の「中」に入り込むことを吸収と呼ぶ。
3行目の話をもう一度言うと、炭水化物だとかタンパク質だとか脂肪はこの状態では吸収されないんだ。
なんでか、というとこれらの栄養分は分子があまりにも大きいから、体の外から中にはいる小さな「穴」と通れないんだ。

 ではどうすればいいか?分子が大きくて通れないなら、分子をちぎって小さくすればいいじゃない。それが消化なんだ。(「穴」を大きくするという発想もあるけど不採用)

 ということで、「生命を維持する働き」の最初に、消火と九州消化と吸収について学習していこうと思うよ。


 ところで、ご飯をよ~く噛んで食べているとそのうち甘く感じることはないかな。
 実はこれ、さっそく消化が始まっているんだ。

 お米の中には炭水化物の一種、「デンプン」が含まれている。このデンプンの分子ってのは、こんな風に書く。覚えんでOK。

 六角形が3つ書かれてるけど、真ん中の六角形が[ ]で囲まれ、その右下に300-600とあるのは、真ん中のタイプの六角形が300-600個ほどつながってますよ、という意味だ。つまり六角形が両端の2個合わせて約300-600個つながっているってわけだな。(302-602個?こまけぇこたぁいいんだよ!!)簡単に言うと六角形の正体であるブドウ糖(グルコース)という物質の分子が果てしなくズラリと並んでできているのよ。だから大きすぎて例の「穴」を通れない。

 そこで、デンプンの分子をちぎって、ブドウ糖分子が2個つながった「麦芽糖(マルトース)」などの小さい分子にすれば「穴」を通れる、吸収することができる。
 これが麦芽糖の分子。六角形が2つしかない、というところだけわかればよろしい。

で、ご飯をかんでいるうちに、口の中でデンプンがこの麦芽糖などになるんだ。その証拠に、甘く感じるだろう?麦芽糖などの甘味だ。

ところがだ、そのデンプンの分子をちぎって麦芽糖などにする作業は、誰にでもできる芸当じゃない。それ専属のプロの力が必要だ。実はそれがまさかの唾液なんだ、そう、あの「つば」!

なんだその疑いの目は?あの汚い唾液にそんな効果があるなんて信じられないって?よろしい、ならば戦争実験だ。