0703 理科教師のための作問入門(1) 生徒の理科の学力を測る

2024年6月6日

新シリーズ。
 定期試験や入試問題、問題集に模擬試験、学力検査…と世の中にはたくさんの問題があります。私自身、定期試験の他教科書や市販の問題集づくりなど、問題作成に関わってきた身です。
 ぼちぼちそのノウハウ、というか考え方を遺して、というか言語化しておこうかな、ということで新シリーズ「理科教師のための作問入門」を始めます。

 第1回なので、まずはこのシリーズで作りたいとする問題の範囲をなんとなく定義したいと思います。もちろん理科の問題というのは当然の前提として…

次の①~③の物質を化学式で書きなさい。
  ①水   ②二酸化炭素   ③塩化ナトリウム

 こういう事実的な知識を再生させるタイプの(単に用語や記号などを覚えているかどうかを問う)問題は扱いません。このような問題が必要ないというわけではありませんが、別に作問にノウハウも何もいらないですから。

 このシリーズでは「思考・判断・表現」の観点を評価できる問題と、「知識・技能」の観点のうち「知識の概念的な理解」の学力を見とる問題の作問を扱います。

次の文の正しいものには×を、誤りを含むものに○をつけなさい。

 さすがにこれはふざけすぎてますが、理科の問題を生徒に解かせる(あえて「生徒が解く」ではなく「生徒に解かせる」という使役的表現を使います)目的は、生徒の理科の学力を測ることです。なので、択一の問題で適当に選んだ選択肢が偶然正解になるのはしかたがないとしても、その問題で測りたい理科の学力がある人にはちゃんと○をとってもらいたいし、そうでない人には×がつくような問題を作れることを目指します。
 そのような観点から、理科の学力と全く違うところでミスを引き起こして本当はその問題で測りたい理科の学力があるのに、×を食らってしまうことは極力避けたいところです。
 現実には他教科も含め、テストで絶対に100点を取らせないように問題を作る先生とか、意地悪なひっかけ問題で生徒をはめる先生もいらっしゃらないわけでなありませんが、そのような方には本シリーズとは相いれないものかもしれません。

 一方、究極的に目指したいところは、①解いてみたくなる問題、②問題を解いた後にその問題で扱っていたことをリアルにやってみたくなる問題、なんかがあげられますが、私自身そんな問題を百発百中で作問できる域には達していないので、どこまで書けるかわかりません。だから作問「入門」でとどめています。

久野弘幸 新学習指導要領と授業改革|Sky株式会社